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晩春の街は夏を目の前にして
薔薇の蔓払いに追われる
柵越え屋根越えレンガの隙を縫い
年中伸び続ける野薔薇の蔓を刈る
畑も牧場も家も寝床も
ここでは薔薇と領地の奪い合い
特に最近は冬を経 ....
むかしむかしの
おおむかし
このあたりはジョーリングという
若い貴族のおおきな私園であった
ジョーリングにはヨニドナという
美しい妻があった
ふたりは清き心と身を持つ
神 ....
見慣れた色 愛していた白の壁紙に 青インクを滴らせた
それも今は夢
貝の骨 散らばった星の砂 瓶詰めになった船型の心
凪にたゆたう 壊れた女神の半身
朝はこない ガーベラは枯れず 壺は ....
{引用=** みすてられしつるばらの軌跡より
はるかとおき地にさくもうひとつの
業の花についてのおはなし。}
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幼い日の楽しみといえば
暖炉脇で聞く祖母の話だった ....
ナディは目を開き
暗闇に耳を澄ます
”野薔薇の蔓通り”は寝静まり
酔っ払いの革命歌も聞こえない
ナディは耳を澄ます
通りの東の旧街道へ
”{ルビドナとジョーの=DJ}街 ....
どん どん しゃらら
どん しゃらら
花かんざしの 揺れる音
大路を渡る 風だより
おまえは たっと駆けてゆき
つばきの垣から そっと見る
うちにもこうて ....
まだ"野ばらの蔓"通りがレンガ敷きでなく
拝石教徒が万象夢想論者より幅を利かせていた
そんなとても古い時代のお話
緑の丘のてっぺんの
ねじねじばなの塔の ....
それでも無くても
トリーチェの日曜日はいつも特別なのに
今日はレンガの隙間から太陽まで差し込んだ
雨漏りと暖冬のせいか
床に生えた黄色い苔のおかげで
鉛みたいな腰も少しは軽くなったし
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