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疲れた人よ
今は静かに窓辺の椅子にもたれ
瞼を閉じて
雪の花片が奏でる歌を
聴きたまえ
懸命に生きて
なお悔いと苛立ちに
さいなまれる人よ
この星の底まで降りて
....
僕の心臓から生まれた鳥は
灰色の雲に追われ
君の掌から咲き出した花は
昏い出窓でうなだれている
悲しみと苛立ちに
覆われたこの星で
空々しい挨拶など
悪魔に食わせるしかないさ ....
春のひかりの
切れ間で
思いがけず
君と逢えた
容赦ない歳月は
君の何か大切なものを
くすませてしまったように
見えるけど
君の疲れたこころが
まだ冷たい水底で眠り
君 ....
僕に近づかないで
君を見ると
傷つけたくなるから
僕に優しくしないで
誰にでも親切な君が
たまらなく憎くなるから
僕はトゲだらけの亜熱帯植物で
土星から落っこちたサタン
人 ....
モンゴルの草原へ
私は行ったことがない
そこにはきっと
私の母に似た
まるくあどけない顔の
少女がいるだろう
草は風に溺れ
風は蒼天を巡る
ゲルの暮らしの中で
羊料理を囲 ....
あなたと踊りたい
宙を跳ねる陽気なリズムで
あなたと話したい
まっすぐな打ち解けた言葉で
あなたと歌いたい
夏草の上で笑い転げて
あなたとキスしたい
何も考えず痛いほど強く
....
凍った星屑が
壊れた金平糖のように
降る十月は
魔物が
楽しそうに笑っているよ
人間たちは
人間に飽きて
あやしい魔物に
憧れているのさ
あちこちに
着飾った素敵な ....
僕の頭上にある雲は
世間の役に立つ人間になりたいと
思えば思うほど
鈍色に重く広がって行く
僕の胸底にある海は
誰かを喜ばせる人間でいたいと
願えば願うほど
昏く荒れ ....
あたしはその昔
シェヘラザードという名の娘でした
アラブの乱暴な王様に
命がけで気を張って
千と一夜の面白話を
語り続けてくたびれて
猫に生まれ変わった現世
このアラベスク模様に ....
人間たちの祭の日に
僕は六本木の裏通りで踊っていた
そこのタトゥーの娘は
まだ信じてる
愛は麻薬より優しいと
行き場のない欲望が
地下水と交わって
この街を押し流すときも
....