裏庭から
雨音に紛れて
犬が落下していく
音が聞こえる
どこまで落ちていくのか
犬にも僕にもわからないまま
犬は落下し続け
僕は音を聞き続けている
少し傲慢に生きてきて
思い ....
父が酒乱で母に暴力を振るっていたのを憶えている
母は父に怯えていた
父はしらふの時には優しい人だったので俺としてはどっちやねん!という感じで安定した心地がなかった
熱が出ている時に父が甘えて ....
三本目の脚の脈打ちを性器に感じながら、夜はたちうかぶ精気たちを無数の舌でささえてゆく。いまだ散開しつづける空の屍骸が夜のなめらかな声帯をたきつけて、金属のすりあう音をたてさせている。人と人との間には巨 ....
銀色の刺に、凍える、空気は、
青い空の下で、
白い、息をつき、声がもれる、
頬の骨に、拳が石のようにあたる。
わたしは、
バラ線を後ろに、殴られる。
放り出された、ランドセルの黒い光。 ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの
くるくると
回る
地球儀の おと
重ねた手のひらの微熱 ....
温泉の
小さな露天風呂は
微かに
排ガスの
匂いがした
生垣で囲まれた
小さな屋上で
年の離れた男と
星空を見上げる
そっと
からだを合わせたら
温まる
ほどける
....
根っこ の傘
に ツカマリ
しゃぼん
いえロー
ちゅ
トレイン
はかねずみ とり
かかってる 奴に
驚くもんか
とどめ のさし方
にやり ちゅ
に
....
死ぬことについて考えようとすると隣りの女が咳をする
地下鉄の 煙草の 吸えないホームの ベンチの 隣りの
頭の 悪そうな服を着てまるっきり趣味ではない
首筋に湿疹を掻いた痕
携帯の画面に夢 ....
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