四季に手を振り手を招き
多忙の風の中 刹那に傾く 夕焼けの如く
鎧のような交感神経から
いつも幸運にも真水の中を泳ぐ魂になれる ひとひらの降り
快い爽と秋空 黄金色の結晶の影の趣くまま ....
風を読もうとして
青空の中に人差指を立てた
風上から風下へ
紙飛行機は滑っていった
時を堰き止めたくて
夕焼けの中で小指を絡めた
川上から川下へ
笹舟は忘れ去られた
水面に ....
あなたの息づかい
あなたの体温
ほんとはね、わたし、それだけで生きていけるの
ここがいつもの世界なら
投げ入れた石は水底にしずんでいくし
まるい波紋も できるだろう
郵便ポストは1本あしで立ちつくしているし
ひとびとは
笑ったり泣いたりしている
さていまは
....
沈潜
水流から飛び立つ鳥達
冷えて透明に波打つ大気に
勢いよく流れ込み同化して
鳴いては耳を澄まし
耳を澄ましては鳴く
大気のコトバ、律動しながら響き
鳥達は従う、向かうべき方角 ....
あなたに辿り着いたのは秋
次のわたしは冬から始まる
寒さに耐えられたら
咲けるかもしれない
晩秋の頃
血を吐くように
楓は赫く染まる
握り拳ほどの肉塊
女は躯に楓を孕んだ
命の蘇生
輪廻転生する魂
春になれば
....
夕日のみえる高台で
ぼくはきみには背を向けない
だれかの家路を
見下ろすぼくには秘密が多い
赤面してもわからないから
夕日にそまる高台は
告白するのに都合がいいけれど
ぼ ....
マリィ
いまはどうしているのか
二十歳になったおまえが変わった時は
さすがの俺もびっくりしたぜ
おまえはスロウなダンスが好きだったよな
赤いハイヒールがとても似合っていた
....
誰もがみな死を用意していた
そして伝言だけが残ってゆく
ただ一言の言葉が残るだけ
残された者の涙がひとしずく
花をたむけるならいは
原始から
すでに三万年を過ぎている
....
おれが息をする夜
この部屋の明かりは
林道にぽつりんと佇む
自動販売機
蛍光灯をカナブンが舞う
2ストロークのエンジン
ギアはまだ1速
目を閉じると
それはまるでチェーンソー
古 ....
想像上の鳥
想像した空を飛ぶ
想像した空に
想像した月
想像した太陽系は
想像した私の住む世界
歩いている
歩いている
歩いている
やはり
歩いている
道
のようなところを
雑草が茂っていて
誰かがいつか通った
だろうと思うけれど
他の人はいないから
分から ....
川の底で
石くれが削れていく
棚の奥で
干菓子が湿気っていく
人がまた
一つずつ年老いていく
失われていく何かを
今日もただ見守りながら
床の上で
米粒が乾い ....
窓を閉め切って
小鳥は飛び立てない
部屋を出て世界へ 止まり木のない林を見てみたい 武力がわたしを束縛する 抗生物質の魔法の弾丸 何発胸に受けても治まらない咳が 軋む窓を勢いよく閉じてしまう あの ....
水の中
ひたひたと走る
6月か…
落ちてはいない
落ちてはいない
返り咲きの空
水田に積もる波
川に流れていく
人間の外が綺麗でも
人間の中が綺麗でないと
遠心力が ....
寝転んでたら
足で
ぐりぐりされた
ぬぉおおお(笑)
目は笑ってなかった
大草原に
少女漫画が捨ててある
ちゃんと
ヤギもいるが
男の子もいる
女の子は
ちゃ ....
そんな気持ちになったので
センベロしてみた
千円でベロベロになるほど飲ませてくれる店が下町にあるらしい
「たきおかとカドクラ、ハシゴするけど来る?」
とツレに聞いたら
空腹を我慢でき ....
狭い横丁の
ひしゃげた道路標識が
ともすれば我々だったかもしれない
食道の内壁を滑るような時間を生きて
人目を避けながら 遠い未来を思っていた
最初は満ち足りてた人生も
時間と共に劣化していく
命はナマモノ
お早めにお召し上がり下さい
酒と煙草と快楽に溺れ
一時の幸福と引き換えに
抜け落ちていく何か
スカスカの脳味噌と頭髪
....
昨年の夏
砂で造ったぼくの城
いつの間にか波に襲われ
音を立てる間もなく崩れ去った
秋になって
城跡が気になり浜辺に行くと
そこにはBBQの炭と花火の抜け殻が転がってただけ
冬の ....
振り返りもせずに愛は逝く
小さな誤解を積み重ねて塔のうえに登る
そこから遠望する世界を胸に抱いて
おびただしいビジョンを想い描いて
立ち止まりもせずに愛は逝く
高邁な殻を脱ぎ捨てて脱皮す ....
小さなへびかと思ったら
いつかちぎれた
しましま模様の靴紐だった
だとしてももう
それをくぐらせるズックの穴がない
わたしにはもはや必要ないものだったので
さよならを言って
立ち去るくら ....
1を3でわって
3をかけたら
1
だけど
1を3でわったら
0.3333・・・
で
0.3333・・・に
3をかけても
0.9999・・・にしかならなくて
どうしても1になれな ....
『お母さん、最初から一緒に寝てほしいの』
『あのね、お母さんは忙しいの。
後で行くから、最初は一人で寝ないとね』
今夜も娘は
テディベアを抱きしめて寝ている
その規則正しい寝息を確認し ....
鏡のような雲
合成樹脂の丘
クリームのついた唇
曲がり道から木製自転車
オレンジ色のスカーフ
スティールウールの指先
てんとう虫がよじ登る背中
固まりから花びらが散らかって
頬 ....
目を閉じて
息をすい
目を開ける
どうして
世界はかわらない?
ごはんできたよ と 声をかけても
テレビから離れられないでいる
夜の器に盛られた農場は テーブルの上で
少しずつ ふけていく
ブロッコリーの木に
間違えてよじ登った子豚は
降ろ ....
この歌を何回聞いたことだろう
この歌をあと何回聞けるのだろう
あの石が
あんな形をしている必然など
私などにわかるわけもない
わからないからといって
石の形は当然と変わらない
生きる意味がわからないからといって
僕の人生に
意味がないわけじゃな ....
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