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アルコール漬けの脳髄が
ひとつ
秋の夕空に浮かんでいる
スーツに付いた君のファンデーション
ああ それは宇宙の彼方の星雲のようにきらめいて
この世界が美しいのはやはりあの{ルビ女=ひと}のためなのだ
などと考えながら
生地に残った彼女の温もりと匂い ....
僕の恋心は入道雲のようにむくむくと膨らんで
世界を覆い雨を降らす
あの娘はあいつと相合傘
夏空の四隅に黒い塊
そこからスルスルと四本の手が伸びてきて
かわりばんこに僕の首を絞める
だから僕は苦しい
あの{ルビ娘=こ}も僕のことが嫌いだってさ