すべてのおすすめ
初出勤のバスには
4人の乗客
到着するバス停を降りて
それぞれの瞬きを胸に
それぞれの舞台へ
散らばってゆく僕等は
地上に降りた
4っつの星
体の透けた
帽子 ....
数日後
フランスへ旅立つ友の
亡き母親の面影を
就寝前
闇の天井に想い浮かべる
「 わたしがほんとうに
求めるものは、何でしょう・・・? 」
胸に手をあて念じ続 ....
わたしは怠け者であるゆえに
連休前に風邪をひき
おまけの休みの時間のなかで
らんぷ一つの寝台によこたわり
両手に持った本を開いて
在りし日の
詩人の哀しみを読む
....
木の幹にとまり
無心に鳴いて一週間
地に落ちて
引っくり返った蝉の亡骸
無数の蟻に
体を喰われながら
丸い瞳に陽の光をうつし
両手を合わせていた
早朝の蝉達は
すでに目覚め
茂る緑の木々に隠れ
全身を震わせ、鳴いていた。
無人の母校の校庭で
跪き、両手を合わせ
朝焼けの空を仰げば
悔し涙は{ルビ搾=しぼ}り落ちる ....
風ノ葉
こころには
埋まることなきすき間あり
葉の揺る茶屋に
独り佇む
椀
{ルビ空=から}の{ルビ椀=わん}
ひかりのにじむ
底のまるみに
....