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おにぎりを握るてのひらで
詩を書いた
いつか
おにぎりのように
なるように
国道のショッピングモールに
右折して入る車たち
小さな神社と
むかし何かがあった海
忘れたい人と知らない人が
割れ目から這う
つるくさに
コンクリートを重ね塗りする
ああ
....
穴を測る
縦の長さと横の幅と
私がよじ登ってきた深さを
塞ぐのに必要な
土の量を知るために
そして
もし塞げないならば
この穴を渡す橋を
かけるために
土に手を置いて
穴を ....
逢いたいという気持ちは
雨風に擦りきれ
いつの間にかぼろになった
継ぎもあてられないほどに
擦りきれたこの気持ちを
もうこれきり
引き裂いて
わたしは 織ろう
愛しいや あこが ....
あいだに ある フェンスに
ひとすじ
つる が 絡み付き
夕にしか咲かない花を
咲かせている
僕は 動かない
動かないまま 君を見ている
動かないまま見ることが
いつのまにか ....
透明なビニール傘が
人の間をいったりきたりしている
ときおりの悲しみや
優しさのように
花ばさみ取ってけねが と
庭からあなたの声がする
走り寄って
手術用具のようなそれを渡すと
あなたは百合やひなげしを
少し摘み取ってくるのだった
花ばさみ取ってクダサイ と
庭か ....
用の美から外れた私は
フルーツサンドイッチを頬張る
血肉にはあまりならないが
構わない
用の美から外れた私は
生き抜くと定めたことからも
やっと少し外れた
新緑の下
鼻唄を歌う ....
れんぎょう
れんぎょう
れんぎょう
と三回呟いたら
小さく黄色い翼がはえた
小さすぎて
私の身体は浮かないが
こころは先に
あなたのもとへと行けるようだ
目ェ凝らすと
吹雪のなかサ
色んた色した人たちが
手ェあげておどってらった
赤ェの青白ェの、黄色いの
さまざまな手やら足が
終わりの雪のなか
ヒラリヒラリとおどってらった
あぁ ....
十六時が明るかったので
今日を私の春の始まりとする
明日いきなり 死んでしまうとして
さいごに
なにが食べたい? と聞かれても
別になにも食べたくない
缶のミルクティーと
チロルチョコだけで
遠くへ
一歩でも遠くへ
見たことのない ....
まず、膝を使わないこと
都のお姫様になったように
地を這うように摺り足で進むこと
けれど、決して出すぎずに
つまさきに少し力を込めながら
出る杭が打たれないようにすること ....
ひとひとりの心のなかは、いつだって戦争だから
これ以上戦うひつようはない
そう言って花鋏をつかみとる
淡き生活
こどもたちが
口を真っ赤にしながら
園庭であそんでいる
誰かをつかまえ
気に食わなければ噛みつくために
こどもたちは
細い睫毛にひとつずつ
金銀の王冠をつけており
その毛並みは ....
言葉が僕たちを汚さなくなって
久しい
お悔やみに
少し遅い桜の木の下に
鉛の文字を埋めてみた
泥が手にはね
鉛の文字は
薄荷棒のように冷たい
桜は八重だったと見え
あれよあれ ....
わたしは幼女になって
あなたに誘拐されたい
ひらひらと
垢ずんでいく赤いスカート
ひとこともはなさない
あなたは
それに気付くことも
ない
わたしたちは
いつか家 ....
あなたがあまりにも大きく樹をゆらしたので
花びらが落ちているのだった
色とりどりのかみふぶきに混じって
潔白な白がくるりまっているのだ
地上ではパレード
美しくなった出会いと別れへの ....