すべてのおすすめ
『腕』 　　　　　あおい満月

しかくいまちの
しかくいまどから
しかくいそらをみている。

陽炎の向こう側を
車が走る
人々はアクセサリになって
街の腕を滑っていく 　.... ふたしかさ。
たしかなふたしかさを持つ
それが彼のこころ。

みえるようで
みえない。
いつも家族が集まる夕飯時に
そっと背中を通って
硝子窓を覗く
それが彼の部屋 　.... プラットホームの蛍光灯を
なぞりながら
おりてくる
ぬくもりをもった
夜の闇。
夜の市ヶ谷駅の
下には釣り堀があって
人々はうなだれながら
みたこともない
翼の生え　.... うまれるもの。
うすかわをむいて
むききったさきに
にじみでるしるは
なつかしいうみの
あじがする。

＊

うまれかわるもの。
せつなにきりかわる
でいた　.... わたしはうまれるまえの
かたまりの内側に潜んでいた
ある日溶岩とともに かたまりが溶けて
わたしが流れ出た
海が生まれた
空には赤い夜の太陽が
花開きながら飛び散っていた
　.... しあわせなひとは
はなれていても
よりそいあえるひと
わたしのなかの
皮のような
息をしない
過ぎていったふるい　.... 晴れた日に
空を見ないなんて
空がもったいないと思う

いつもと同じ
車窓からの景色も
晴れた日は 　.... 深海のように
ふかまるおもいが
しろい糸のように
風にとけあっていく

ゆるせなかった過去や苦しみも
今はただ、 　.... うすい板に
はさまれた
弾力なみずは
あらゆる喧騒や献身をすり抜けて
自己だけが知る
ちいさな孔をめがけて滑り込む
みずがみずだけを知る自己へ

みずはむれを好むが
　.... わたしのなかで
剥がれおちたなにか
そのなかにある
あかいかたまりのなかの
あかいわたし

剥がれ落ちたわた　.... 今はもう忘れてしまったけれど
たったひとつ、
おぼえているものがあるとするなら
朝の理科室で
フラスコに入れた無色透明な液体　.... 八方塞がりとは
こんな気持ちをいうのだろうか
こころの深い奥で
前に進もうとしても進めない
強い何かで 　.... 忘れているものが思い出せない
そんな毎日が続いている

わたし以上に、
大切なものがあるような気がして
胸の奥が落ち着かない
賢明ながらも堕落した生活に終止符を打ちたい

十六　.... スライドする
月が笑う
夜の窓辺

憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先

わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま

吸い込まれる
終電の渦

たった１ｍｇの錠剤で
繋ぎ　....

北大路京介さんのあおい満月さんおすすめリスト（44）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
『腕』	- あおい満 ...	自由詩	7*	14-8-18
『こころ』	- あおい満 ...	自由詩	10*	14-8-17
『うたごえ』	- あおい満 ...	自由詩	10	14-8-6
ぴいらあ	- あおい満 ...	自由詩	9	14-7-16
『赤い快楽』	- あおい満 ...	自由詩	8*	12-12-2
『のぞみ』	- あおい満 ...	自由詩	7*	12-5-27
『空のことば』	- あおい満 ...	自由詩	15*	12-4-21
『ふたり』	- あおい満 ...	自由詩	9*	12-4-1
『ながれ』	- あおい満 ...	自由詩	8*	12-3-8
『かわむき』	- あおい満 ...	自由詩	11*	12-3-1
『枠のなか』	- あおい満 ...	自由詩	12*	12-2-11
『抑制と希求の間』	- あおい満 ...	自由詩	7*	12-1-15
『ピアニシモ』	- あおい満 ...	自由詩	6	10-12-5
『蒼の日』	- あおい満 ...	自由詩	16*	09-5-17

---

1　2　

すべてのおすすめを表示する

推薦者と被推薦者を反転する