メッキで金色にぬられたボタンが
雪の中に落ちていた
ボタンの周囲には
動物の足跡が転がっていて
灰色に溶けた雪が
鉄を鳴らす音で雪自身を撹拌していた高音も重低音も抱きしめながら駆け抜けて ....
一.

戦争を俺は知らないんだと はじめて思い知ったのは
キプロス島に ある朝突然逃げ帰った妻が いつか話した
占領の話 地下室の話 息を殺して
あいつが真似た マシンガンの ....
夜明けに陽気な娼婦達の話し声で私は今日も目覚めた
部屋の窓からカテドラルの朝の鐘が鳴り響き、私の紙幣は天使の羽として収穫された
振り返ると机上では枯れたバラのラブレターの束に燐寸で繰り返し火を付け ....
トレイに紙を入れトイレを済ませ机での何時もの朝
ある時黴の付いたカルキ臭い水槽の中に私の症状が
見つかる私はゆっくりとそのネックレスを取出して
三つの神々に渡したが黒い真珠を一つ秘匿のままに
 ....
今も待ちぼうけしてるのだろうか
シナイ半島ヌエバのイルカ
ヨルダンとエジプトの間に静かに眠る紅海の
ヌエバという小さな村で
ぼくは一頭のイルカに出会った

餌付けしてるわけでも
囲ってる ....
遠い遠い昔
シーラという女の子がいた
首飾り細工師の娘として生れたけども
故あって神につかえる巫女としてその一生を終えたシーラ

ヤサクという若者がいた
ある夜、炎を囲んで行われる ....
眠りが浅く、寝ざめの悪い私の朝。躾がなっていない私の部屋は、いつも
物が散乱している。ふと鏡台に眼をやると、昨日の朝に食べたパンケーキ
の欠片に、ぞろぞろと蟻の群れがたかっている。私は、ぼんやりと ....
君は郊外の一本道に車を走らせて
いる 星も見えない真っ暗な夜 
ヘッドライトに照らし出されたア
スファルトはなめし革のように滑
らかだ 道の両側には鬱蒼と茂っ
た灌木から我先に逃げ出すかのよ ....
手首の上をながれてゆく触覚を足の裏に溜める。肌からにじみでる殺意が皮脂に溶け込んでしまうのは、私の内なる単子が水を吸った海綿だからだ。水色の球面を幾度となくめぐり、針をうしなった摩擦力。角の取れた立方 .... うたびとの記憶は木の葉のように、それぞれの滑面を散らしながらはすに重なりあってはひめやかに燃えていくのです。残り火は隔たりをときはなって、思い思いの灰を降らせながら真空にうずもれてゆきます。灰は年老い .... 夕暮れになると
ばくは星間に漂いはじめるのだった。

追いつめられてすきとおっていた
声なき声は銀河の構造
肉体を失って誘いを待つあなたは光の粒子
粒子は崩れぼくは光速で見えないあなたを通 ....
キャンディの蒸発が
存在の危うさに
交わる午後

街は熱中症の糸を
器用に手繰り寄せて
痛覚に群れた
羽蟻を潰す

高気圧が
螺旋する堤防には
焼ける鉄板の
匂いが見える

 ....
        
    
     


 ぼくには子供がいない
 そのことは太陽のようなことなのだ
 ぼくには子供がいない
 そのことは月のようなことなのだ
 ぼくは一個のDNA ....
         


     サキは笑った
     蛸がパソコンを操り始めたからだ
     赤くなって蛸はワードをうちはじめたのだ
     蛸はなにが書きたいのだろ ....
まろんまろんな、かなしみだ。貧血でクラリとするときのあたまのイメージは、からっぽでしょう。カウンターパンチで、どう?投げて様子見、投げて様子見で、過ぎていくは時計の針、折り折りだよ。四角いだけのビート .... フリーダム。
自由は、雨あがりの蛍光灯にぼんやりしている。


コツコツするのは足音だ。地下鉄のホームに、つるりと鮮やかな緑色の椅子が並ぶミニマルな夜は終電の少し前。ふわり、酔ったような光は湿 ....
 エムと出会ったのは、ちょうど海の標識が立つ四つ角を曲がった交差点だったと思っているのは記憶違いなのかもしれない。御影石が欲しいというので三つ拾ってあげたところまでは、覚えているのだけれども、その先は .... 情感は使わない洗面器からあふれる陶酔の潰れたプラム食糞の構造を証明するのに
ピラニアが必要アマゾン行き断念パパが近所のペットショップにて購入30年越しの悪夢
放電現象行きずりの人渇かない爪痕散 ....
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ロブソンのトビウオ



青いエレキギターをかたどった巨大な電飾の看板下。 回転扉をくぐるとまずはじめ
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