昨日、ビールを家で飲んだ。
初めてひとりで飲んだ。
苦くてどうしようもなかったので
ギンギンに冷えたチョコレートを口の中で溶かしながら飲んだ。
にがいにがいと言いながら。
季節を感じるその朝は
高く射しこむ光を返し
満ち溢れるまぶしさに
心湧く世界を誘う
茎は陽の角度に合わせ
その高さは届くように
葉は大きく広げ
近くに住む虫たちに
憩いの場を与える ....
ぼくは詩を書きたい
つながりというものに
明確さは必要ない
今日もまた
朝の散歩をしていると
緑道に出会いました
緑が生い茂る夏
緑が似合う夏
歩く道も
なるべく ....
ぼくは詩人
人はみな
苦労するために生きるのではなく
生きるために苦労するのである
今日もまた
夜の散歩をしていると
夜風に出会いました
暑かった昼を忘れさせる
そんな ....
ぼくは詩を書きたい
知識は完全なものではなく
時には無効となる
今日もまた
朝の散歩をしていると
爽やかな風に出会いました
夏の朝
暑くなる前のほんの少しの間だけ
明る ....
駆け足だったあの頃
{ルビ躓=つまづ}くたびに零れた
ぎこちない音も
こうして、つないでみれば
いつか、優しい旋律
奏でられる音階、の隙間
置き去りにした、いくつもの溜息
そっと、触 ....
降り続く5月の雨のにおいに
そのアパートの住人は気付かないふりをしている
僕は僕であって欲しかった
少なくとも鏡の前では或いは
君や君以外の誰かの瞳に投影される僕の影ですら
既に僕ではな ....
あなたがいつか
いつかいなくなってしまうなら
いっそあたしの前に現れてくれなければよかったのに
と思えば救われる気がして
あたしが? いいえ、あなたが
まだ暗き
湖のほとりに
銀の鈴ひとつ
小さく小さい音
カップに注ぐハーブティー
白樺林にミント香る
チッチッ、チッチッ、チィ、と何の鳥かな
ほのほのと霧のかかる
湖のほとり ....
溶けた雲の合間に
純粋な青色は虹彩にとらわれ
雨粒の音にアスファルトの匂い
葉の埃は落ちきり緑の鏡になってる
片手の本は重くて軽くて
瞼は濡れるような乾くような
遠くの葉音が聞 ....
五年かかって庭の木にやっと
たわわにおっぱいが実った
刺身、焼き、しんじょ、シチュー
いろいろあるなかで
やはり茹でて食うのが一番うまい
マヨネーズは味が濁っていけない
つけるのなら酢醤油 ....
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから
わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話し ....
気分がいい豚は 皆にのせられて 歌を歌いました。
皆があまりにも楽しそうだから もっと気分をよくして 踊り始めました。
皆 大きな笑い声を上げて 豚を煽てました。
「いいぞ。いいぞ。」
「 ....
寝不足で
車の中で寝てしまった
倒れかけて目覚める
哀れな姿
明日のために
義理を立て
今日の自分のために
美味しい物は
隠れて
ずいぶんと
遠慮がちにしていたから
友達 ....
窓辺に鳥籠
君に届け
手を伸ばす
モノクロの空
いつか
僕は
事故で
死ぬだろう
そう
遺言
しておこう
いつか
君が
流すであろう
涙を
今のうちに
見ておきたか ....
あなたは幸福ですか?
あたしは幸福です
あたしはいれたての珈琲の香りを楽しんでいます
ずっと昔に録音されたうつくしい音を楽しんでいます
江戸時代に記録されたルポルタージュを楽しんでいま ....
僕たちの住む世界には
沢山のものが溢れ過ぎて
何を選べばいいのか判らない
手に取っては捨てて
また違うものを探して歩く
どれも輝いて煌いて
何も劣ってはいないのに
この中から一つだけ ....
この叫びは
誰のためでもなく
私のエゴだけで
綴られている
九月
暗闇
繰り返す
その色痛い曼珠沙華
あちら側から手を振るあなた
私の空洞から風が吹く
愛して
愛して
愛してやれなかった
愛して
愛して
もっと愛して
暗闇
抜 ....