すべてのおすすめ
生きることは
漂流することだ
海路は
はっきりと見えるものではなくて
だから時々迷ってしまったり
沈んでしまいそうになる
大波にさらわれたら
口からぷくぷくと細かな泡を吐き出し
....
金色をつかもうとして
手足をばたつかせていたら
きみはぽつり
ゆきがふってるよ、
と言った
確かに頬には雫があって
ほてった身体を冷やしていく
雪が降っているのは恐らく
ずっと奥の ....
叶わなかったものを
あした、と呼ぶことにした
ガラガラで出てきた白い玉
おじさんが残念でしたとティッシュをくれた
列から離れるとラッパの音が揚々と響く
真っ赤な自転車を当てた女の子は
....
落ちた数を数えるよりも
水滴の生まれた場所が知りたかった
ささやき声も空気を振動させるような
ぎりぎり均衡を保っているこの小さな空間で
破裂する寸前の風船みたいな緊張感の中
今、きみが生 ....
いつだって瞬間を見ることが出来ない
気付いたらつんと澄まして
そ知らぬ顔で頭上を照らす
なめらかな曲線で出来た満月
夜にいるにはあでやか過ぎる
汚れることを恐れていないような
きっぱり ....
気付いていなかった
守られていること
包まれていること
てのひらにいること
振動を感じて見上げると
電線で翼を動かす雀
池の鯉は大きく跳ねて
しぶきをきらきらと飛ばす
特別 ....
群青をひとつ、ひとつ
飽きるまで数えてみる
雨上がりの夜
余計なものは流れてしまい
ぴんと張り詰めた大気
群青
水際を囲うように
涼やかにひらひらと
色を落とすあやめ達
群青 ....
ぼくたちはきっと
忘れるために生きているんだね
呼吸の数だけ物語があって
さめてしまった二酸化炭素から
秘密の木箱に片付ける
時々開けて眺めては
過ぎた呼吸を試してみる
そんなこ ....
綺麗ごとが染みに見えてしまうのならば
綺麗なもので世界中を埋め尽くせばいい
それが当たり前になるように
両手を広げられることを
抱きしめるべきものがあることを
美しいものを認めるこ ....
鎮守の森の片隅に
忘れ去られた汲み場がひとつ
錆びたひしゃくを手に取って
したたる水滴を拾い上げる
時間をかけて器を満たし
波打つ水面をただ眺める
森の奥にいる神様のことも
この ....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした
水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
一度にたくさん、ではなく
そろそろ、と流し込む感じ
絶対濃度を持たない空気は
放流の力で簡単に色を薄め
侵入者だったはずのものが
気付けば当然になっている
さっきまで開いていた花は ....
大気は徐々に枝垂れ流れ
紫色に染まってゆく
雑踏は過去のものになり
ほのかな灯りも音を持つ
乱反射していた人工のひかりは
次第に少なくなってくる
大気は更に厚みを増し
地上 ....
おもむくままに、旅に出ようか
規則正しいかたかたとした音は
恐らく鞄に忍ばせた貯金箱
目を閉じればそれは
大きな機関車のタイヤに変わる
太陽はなだらかに線路を作り
どこまで続いてい ....
彩りと彩りがひしめきあい
ぼくはお茶をすする
うすくれないに緑が混じり
きれいなまだらの葉桜は
そよそよそよと風に任せ
勝手気ままに踊り舞う
ちょっと目線を背けてみれば
だらりの ....
そもそも、
ありとあらゆる美しさや
溢れている優しさは
架空に過ぎない
誰かが言っていた
そこにすがりついているぼくは
きっととてもみっともなくて
誰か達は指をさして笑ってい ....
この絵に
足りないものがあるとしたら
瞳の奥に色を使うのを忘れ
きっとぼくは
二次元のような顔をしていたと思う
もしもこの中から
たったひとつ選べるのなら
今のぼくならきっと迷わ ....
夜空の月と昼下がりの菜の花はよく似ている
時に道しるべになり
時に風景のアクセントになり
時に心奪われる
瞬きの方法を忘れたら空を見上げる
際立つ眩しさに気をとられると
いつの ....
ぼくは、うさぎ。
間違ってかじったのは、
葉牡丹。
きみは、鮮やかでもなく
そっと、緑色だった
花にまぎれて
葉にまぎれて
陰に隠れて
気付かれることなく
静かに笑う
....
土の香りを喜ぶには
まだ余りにも未成熟だった
美しく咲く花道の
景色を楽しみ 香りを楽しむ
甘いものを胸いっぱいに吸い込み
とろとろと溶けてしまいそうになりながら
溺れているのが少女の ....
呼吸は細く、長く
ゆっくりと繰り返す
名前もないような草がざくざくとしげり
時折ぽつぽつと色が見える
それは例えば蓮華草であったり
ぽこぽことしたシロツメクサであったり
小さく眩しい菜 ....
どこからか、来た
たんぽぽの綿毛
風をさかのぼる
きみの名前は何だったっけ
そうだ、確か
うさぎ
足跡をたどる
その声は誰だったっけ
そうだ、たしか
....
絹糸をよせあい
指の間にからませてみる
しゃらら しゃららと柔らかく
それはとてもしなやかで
最後に泣いた日を思い出した
寒天のように細かくふるえ
すぐに崩れ落ちそうになるこころを ....
10年ほど前から、わたしはネットで詩を書くようになった。単純に、保管できる場所が欲しかったからだ。
それから今まで、たくさんの人に出会った。詩を書く人、詩を読む人、両方の人。
彼は、その中の一人だ ....
きみに逢えた日に
桜が咲きました
花壇にはたくさんの花
わたしは名前を知らないけれど
きみと同じくらいかわいかったことを忘れません
かわいい花と空と季節ときみを
気付かぬう ....
しあわせを数えて
ありがとうを発信する
予報よりも少し早めに
桜のつぼみが開き始め
相変わらず月も綺麗で
喉の奥がきゅっ、と鳴る
ひとりでもふたりでも
ひゃくにんでもせん ....
カルピスの底みたいな白濁色に
おぼれてしまう人を笑うことなど出来ない
明かりがいつも灯っているわけではなく
でも闇ばかりというわけでもない
はっきりしない色に囲まれて
遮られた視界を ....
大きな声を上げて喜ぶ子どもと肩車する父親
隣でカメラを構える母親
恐らくまだ若いのであろうカップル
日曜日の動物園は賑わう
君の口からは
たくさんの刃物のような言葉が発せられ
こん ....
甘い香りに全てを奪われ
何から伝えたらよいのかわからなくなった
不意に瞳に触れるのは
隅に佇むすべりだいと
少し汗ばむわたしの右手
人の手では作ることは出来ない
きっと生ま ....
(地下の喫茶店ではジャズが流れ)
しかし、あれですな。
どうしました?
最近の禁煙推進運動にはほとほと困り果てております。
そうですね。
我々喫煙者の肩身がとんどん狭くなっておりますよ。 ....
1 2 3 4 5