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夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたい ....
液晶の画面の中では
愛と恋とが
消費されて擦り減って
それでも笑顔を忘れずに
人間の傍にぴたり、と
まるで一人では生きられない
飼い馴らされた犬みたい


マニュアルなんて
何も知 ....
無言の種がいつの間にか芽を出していた
沈黙を守りながら
ときおり呼吸を整えて
少しずつ葉を増やしていく

色濃くなる葉
物語るのは血潮

忙しく変わる私の騒がしさを
彼らの静けさが中 ....
立ち止まったところに
誰かの{ルビ欠片=かけら}が落ちていたので
拾い上げてから交番に届けようとしたら
持ち主らしき人が
不安を抱えたてこちらへ歩いてきたので
「捜し物はこれですか?」
と ....
笑っている
見下ろされて恥ずかしくなる
毎日は
知らないところで進んでいた
取り残されたような寂しさが
独りぼっちみたいで悲しかった


 あの、
 昼間に薄く青くなる
 広大な陰 ....
一円の雪が降った朝
十円のゴミを収集する車が
難しい顔をして通り過ぎる
百二十円のココアを
二千九百円の手袋で包み
三円分のリップクリームを塗った唇に持っていきながら
それを見つめていた
 ....
途中だった思案を開いてみる
また白紙になっていて
今日という日があるのはそのせいだ
記憶なんて信用できないもので
記録のほうがあてになるかもしれないと
毎日、一頁ずつ
日々を書き留めていて ....
雪が降っている
ゆっくりと
確実に
地面に
森に
山に
田畑に
人に
犬に
家々に
音も静かに
きちんと降りてくる



そんな様を見ている

景色が
無音の白にな ....
地球が滅びるとき
進化が過ぎて
全種類のいきものが
一斉に空を飛ぶ
大気圏を越えて
少し離れたところから見た地球は
丸裸になっていた







そんな夢を見てしまったら ....
鼓動を知っている
急激に階段を上がり
寝床に入ると
生きている苦しみと共に
息切れと共に
脳を覆う

熱を合わせると
寝床が海に変わり
大海原を旅する船になる




鼓動 ....
集めている


草花の歌声を

鳥の時を

空気の鼓動を

水の根を

空の恋を

魚の道のりを

暗やみの夢を



ひたすら

見つけては
集めている
 ....
ひとにぎりの世界しか生きていなくて
端と端が繋がって
わたしからは
到底、端が見えない


いつの間にか
周りには繋がりだらけで
端にいないわたしたちは
宇宙の端が見えなくて
 ....
「気楽」を抱き締めた
精一杯に、一生懸命に
「矛盾」が貼りついてきたので
えいや、と払い落としてごみ袋に入れる
これはもえるごみだろうか、と
湿った「疑い」が落ちてきたので
とりあえず床を ....
明日のための『今』を食べる
『今』を吸収した体は少し古くなり始める
古くなる体を抱えて、明日の続きに怯えたり、期待する
明日の続きは死へと確実に繋がっている
一つの歯車が錆始める
きゅるきゅ ....
神様がくれた隠し事に
毎日悩んでは忘れていく
何を焦っているのか
やたらと派手な飛行機が
どうしようもない青空に直線を引いて
もしもそれがチャックみたいに開いたら
想像できるのは人 ....
図書館の本は
公務員みたいに黙って
読まれる、という役目を
少し怠そうに待っている

田舎の図書館は
どうも品揃えが悪くて
本にも覇気が無い

手に取ってみても
抵抗はしないけれど ....
月曜日
わたしには仕事などない
だけど、うちにばかりいると叱られるから
とりあえず、仕事に行くふりをして
たんぼの畦道をよろよろと歩いた

畦道は細くなったり
太くなったりして
歩きや ....
野良犬「怖い。人間は怖いいきものだ。」
飼い犬「なぜ? あんなにも優しいのに。」
野良犬「あなたは頭がおかしくなっている。理不尽に死を与える人間のどこが優しいのだ。」
飼い犬「人間がそんなことを ....
あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった


あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨 ....
灰色のコンクリートには
ない、ない
としか書かれていなくて

薄紫色の夕暮れには
さあ、さあ
としか書かれていなくて

茶色の地面には
まあ、まあ
としか書かれていなくて

青 ....
シロとクロは
相反する色をして
だけど、寄り添い
補っているようで


二匹はいつも
空き地の隅に
重なるように眠っている
実際は交ざることなく


無造作に生えた緑から
シ ....
窓の外を見ると
宇宙だった

宇宙船に乗った船員が
私の姿をして
窓ガラスに映っていた



どうしようもなく
地球が恋しくなった



この景色を君に見せたくて
写真付きメールを
ここから送るよ
アスファルトの道を歩いていたら
急に波打ってしまったので
なんだろうと首をかしげていたら
そういえばこのところの猛暑で
線路が歪んでしまったことを
思い出していた


ミニィは
アス ....
あおいそらと
しろいくもと
とうめいなひかりが
わたしのあたまの
はるかうえで
たのしそうに
おどっていた


すん、と
せすじをのばしていない
そらとくもとひかりは
ほんとうに
たのしそうで
 ....
ガラス窓が
ごつん、と鳴った
振り向いたら
何かがぶつかって
怪訝そうな顔をした
ガラス窓がいた

蝉が死んだのだ
わたしはそっと拾い上げて
犬にやった



窓の外には
 ....
夕暮れに
打ち水をした小雨
気が付いたら
夏の涼しさが
玄関に居座っていた

そんなことが
嬉しく思える
わたしは
人に生まれてきて
良かった、と


意味もなく
悶々とし ....
欠けた月の前を
白い
大きな鳥が
西へ
通り過ぎてゆく


どこへ行くの?
お前は
急いで


呼んでいるの
みんな
帰る場所があるの、ね


西は
羽根を ....
雨上がりの水たまり
泥水も尊いいのち

綺麗な花が
尊いいのちなら
枯れた花も
尊いいのち

忘れないよ
ここにいたのは
尊いいのち



犬が
ぴちょん、と
鼻をつけ ....
玄関のチャイムが鳴ったので
仕方なく立ち上がろうとしたら
背中の上に
重たい鳥が
止まっていた

「どいてくれますか?」
黄色の羽根を
ぱたり、と閉じて
ずん、と居座る
「私は止ま ....
おもてに映るのは
笑って
泣いて
嘘を吐いて

うらでは何を
映しているの?
遠い空しか
見てないの、ね



仰向けに眠る癖は
やっぱり
私なんか
あなたのどこにも
 ....
ペポパンプさんの小原あきさんおすすめリスト(137)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夢の中に落とし物をした日- 小原あき自由詩31*08-2-29
出会い- 小原あき自由詩24*08-2-13
植物- 小原あき自由詩16*08-2-11
出会うこと- 小原あき自由詩17*08-2-1
簡単に空を空とは呼びたくない- 小原あき自由詩12*08-1-29
一円の雪- 小原あき自由詩19*08-1-23
死とか臨界とか循環とか- 小原あき自由詩26*08-1-19
- 小原あき自由詩20*08-1-16
地球が滅びるとき- 小原あき自由詩12*08-1-11
鼓動- 小原あき自由詩20*08-1-5
集めている- 小原あき自由詩20*07-12-26
ひとにぎりの- 小原あき携帯写真+ ...9*07-12-20
きらくのはじまり- 小原あき自由詩18*07-12-18
たべる- 小原あき自由詩12*07-12-5
隠し事- 小原あき自由詩7*07-11-28
- 小原あき自由詩39*07-11-7
なんでもない一週間- 小原あき自由詩36*07-10-26
ごめんなさい。- 小原あき未詩・独白7*07-10-22
あるお腹が空いた日- 小原あき自由詩27*07-10-15
人生ノート- 小原あき自由詩24*07-10-7
シロとクロ- 小原あき自由詩18*07-9-17
宇宙船- 小原あき携帯写真+ ...17*07-8-23
波打っている- 小原あき自由詩20*07-8-21
ダンス- 小原あき携帯写真+ ...15*07-8-2
まつり- 小原あき自由詩15*07-7-27
rain- 小原あき自由詩10*07-7-25
帰る- 小原あき携帯写真+ ...10*07-7-24
尊い- 小原あき自由詩15*07-7-24
ペズゥ- 小原あき自由詩32*07-7-17
嫉妬- 小原あき自由詩18*07-6-29

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