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鏡のふちに
霜が降りている
唇のはしが腫れはじめ
痛みがやむころに
枝先から影が落ちる
おもむろに声をあげようとして
言葉にならなかった音の破片が
ガラスを震わせる
あなたが
どこか ....
ぬるい風がおびきよせるわたしたちの蜂
甘い匂いのする夏の終わり
なにもかもが蒼くて
中心の一片だけが白く冷め
わたしたちが目指す蜜
羽音はまだ遠いというのに
わたしたちは耳をふさいでう ....
みなみの風、稜線のむこうから白のむれ
あなたは北から
奥そこ、しずかな砂のうえにからだをおいて
あと三日ほどねむって
ちいさい時分にみた夢を思いだしている
しろく、生あたたかく
とおく ....
波あとのすなのうえについたあしあとを
くっきりとおぼえている
場面はかわっても流れている音楽はおんなじだった
われわれがみがきあげたタイルのうえを
仔どもらが駆け抜けていって
べたべたするあ ....
焦点をぶれさせるため朝はある 指のすきまに宿る色彩
眠り明け 耳鳴り低く響くので 夢のはしから余白を殺す
むしられる前のつぼみに似たひとの、首をしずかに傾けるさま
唐突に遠さ ....
指をひらくと
きのうの夢がこぼれ落ちた
わたしたちは
月の公転ぐらいのスピードで
どんどん忘れていくのだから
泣かなくてもいいのに
と言いたいが
きのうときょうの
ことばを全部書き残し ....