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年老いた彼はいつも
解剖学者の手つきで
本を読む
夏草が道を覆い隠す勢いで家中に繁茂した本達は
彼の手が触れた瞬間にほんとうは
喜びでかすかに震えてしまうのだが
自分たちは死体 ....
小さいときの彼は
割と人見知りのほうだったと思います
竹棒の先に白墨挟んでね
線を引きながら道を歩く
不思議とそんな遊びに熱中するような子でした
長々と続いた白線を振り返って
嬉しそうでね ....
渋滞の信号で隣に並んだ黄色い車
火のついた煙草を挟んだ女
の指には銀の指輪
薄い色のワンピースの中の腕
肩まで伸びた黒い髪
閉め切った窓の中で動く女の唇
四十がらみの女のうたう歌
ふふん ....