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一、斜塔
あの塔は
いつ崩れても
おかしくはない
と
その
語りは
誰かにとって
あたらしきを築き
誰かにとって
もはや
壊れたままのかけらで
見えないはず ....
初夏の陽射しは 便りを運ぶ
宛名も消印も
差出人も
見当たらないけれど
懐かしさという
こころもとない手触りに
わたしは ゆっくり目を閉じて
紫陽花のさざなみに
いだかれる
....
しずくのことは
一輪、
二輪、と数えあげたく
青空ならば頷いてくれるだろうか と
躍らせた髪
真昼の月の通い路と
銀色乗せた浅瀬の流れは
中空で いま
十字を結ぶ
か ....