あの家は娘が男と死んで
父親は耄け録でなし倅に
譲るつもりのなかった家督を譲り
母親は髪を落として家を離れ隠ったまま
思えば娘は母親似だった
あの家は息子が女と死んで
親夫 ....
思想が消え去った
世の中で
金の重さだけが
身にしみる
生の果てに迎える
死でさえも
路上で死に絶える者と
大学病院で手厚く
看取られる者がいる
同じ死であっても
同じ死で ....
モラ/モーラ/モラ
君の早鐘を
僕は拾い集める
モラ/モーラ/モラ
君は細くかなしい指先で
世界をつかんでゆく
モラ/モーラ/モラ
君の横は
ひどく白い
ひどく ひどく ひど ....
医者になって十三年目の夏。
病棟を回診して、今日も313号室へ入る。
そこは、病棟の患者さんのうちで密かに「十三号室」と呼ばれている、重症部屋なのだ。
5床あるベッドのうち、1つ目のベッドに ....
浴室のブラインドから光と風が流れ込んでくる
さわやかな緑の朝風はポイズングリーン
三つ並べたポリバケツ
一のバケツ 猛毒注意!
猛ダッシュ バイバイ!
二のバケツ やや毒
呼吸開始!
三 ....
たとえばあなたが
もういちど
と、
あふれるように願ったなにかで、
きっとこの世界の半分はできている
誰かのへたくそなギター
雨と雷と虹
ひかり満ちる午後の電車
屋上のラジ ....
ここに俺がいると思うか思うなら挙手せよ
インターネット上に俺がいると思うか思うなら挙手せよ
あるいは印刷された紙に印字された文字に
夕方の台所に夜明けのシャワー室に
ビールが臭う真昼間のネット ....
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