すべてのおすすめ
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
見つからないように
息を潜めた
生きることに意味なんかないなら
存在することに意義なんてないなら
もういいから
あっちにいって
見つからないように
息を潜めた
涙が ....
ちせつな
言葉からつむぐ愛が
どっかへ行ってしまうのと同じように
明日から
せかいは
変わるのだそうだ
ぼくたちは
何も出来ないから
ぴすとるをうつのだ
あな ....
プラネット・ラダー12番地へようこそ
新しい入居者の方ですね
本アパートの管理人です
お部屋まで見送りと
各部屋のご案内をさせて頂きます
こちらへどうぞ
廊下入りまして直ぐ手前から ....
【桜】
元来色の白かった私が
薄ら桃色に色づくのは
きっと貴方の仕業です
今年も
また
染まってしまいました
【金木犀】
はらはらと散らすのは
涙では無く
貴方の残 ....
屍をたゆたわせて 何を祈っているのさ
産まれるものは 得てして魚が啄ばんでしまうと言うのに
屍を火にくべて 何を望んでいるのさ
産まれるものは つまる所私を殺してしまうと言うのに
....
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる
自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
....
雪の降った夕暮れ
すっかり冷え込んだ空気の中で
黒いコートのポケットに手を入れると
黒い皮製の手帳にいきあたりました
そう
全てはこの手帳が始まりでした
死神の僕にとっては ....
ににんがし
にさんがろくで
にしひがし
いちたすいちも
ろくでなし
37までよめが来ぬ
来ない間に日が暮れて
クレタ島からニューギニア
ギアナ高地の贋蛙
ギアナギアナと ....
先生が転校生を紹介した。
キリンだった。
だけど首が長すぎて教室に入れないから
教室の外で、窓から顔を入れて勉強している。
キリンの家に遊びに行った。
部屋の中心に座れば、取りたいものを ....
世界中のすべての色のなかで
ある一色を残し、すべてが消えるとしたら
どの色を 残したいだろうか。
週刊誌の隅に書かれた
そんな 質問に
まじめに考える彼は
どれほどの色と
ど ....
自宅出産だったので
離れの二階は落ち着きます
人工構造物にも 体温があるのですね
築三十五年の子宮は
隙間風やらひび割れやら歪みやらで
大地震でもあればひとたまりもないかも知れません
(わ ....
ひつじを踏んだ 声はなかった
ひつじは足下で ばたばたしていた
ような気がした
「元気かい」とためしに声をかけたが
ひつじはひどく疲れていたか
もしくは踏まれて不機嫌だったのか
答 ....
“真夜中に雨が降ると良いですね”
押さえ切れない怒りの中で
死神の言葉はそれだけしか聞こえませんでした
息子が一人暮らしを始めました
あの子にも手がかからなくなって
お互いに二つ ....
そろそろと気配が生まれてくる
(春の音 春の音)
さらさあさ
今日は曇りのち雨でした
しっとり雨水 雨水
夢でも見ているのでしょ?
ええはい
鈍色の季節にたつ 青く震える幽か ....
“言葉にはきちんと止めを刺してあげなさい”
俺のじぃちゃんは死神だ
母さんの名付け親だから
血が繋がっているわけではないけど
昔からよく遊んでもらって今も良く遊びに行く
命がかかわる ....
クウキョを食べた
カナシミを飲んだ
イタミが流れて
セカイがゆがんで見えた
クルマにのって
スピードとシンクロする
セカイがうしろに飛んでゆく
ストレートコー ....
裏庭から
雨音に紛れて
犬が落下していく
音が聞こえる
どこまで落ちていくのか
犬にも僕にもわからないまま
犬は落下し続け
僕は音を聞き続けている
少し傲慢に生きてきて
思い ....
【運転室】
ミステリーツアーの
ほんとうの行先は
汽車の運転手さえ
知らない
行先はレール任せなので
運転手は楽譜を前に
指揮を振っている
振りをしているに過 ....
叫んで暴れても灰色のまま
春乙女の恋物語
桜色の染められた頬
いちごがとても気持ち良く薫ります
花のように ふわ ふわりと浮き足立つ
風船は菜の花色でまとめてカゴに付けたら
アルプスま ....
わたしがたぶん起きるとき
わたしはたぶん起きるだろう
わたしが眠りに落ちるとき
わたしはたぶん眠るだろう
自由なりせそ毒虫よ
からだを刺せよ
名前も持たぬ毒虫よ
私ももたぬ
粗忽者 ....
ポチャンと天井から
水滴が落ちてきた
湯気が拡がった
お湯の入った水槽の中で
ぼくは体育座りして
悲鳴のようなため息を
一つ吐いた
横に置いていた砂時計がゆっ ....
ゆるやかに染みていく毒
優しく冷える身体
吐き出した煙は夢のようで
抱かれた肩越しの嘘には
気づかないフリをした
もっともっと毒が廻るように
もっともっと身体が冷えるように
肺に ....
風が吹いていた
風のように母は声になった
声のように鳥は空を飛んで
鳥のように私は空腹だった
空腹のように
何も欲するつもりはなかったのに
母についていくつか
願い事をした
....
バレンタインなんて関係ないねと
モテない奴らがひがんでる
そして俺もその一人で
この時期だけチョコなんか嫌いだと
デパートの前で心の中で叫ぶ
今は仕事もないので義理チョコももらえません
義 ....
生が静かに奪われる季節は
いつのまにやら飛んでった
透明な幽霊は嘆いたままで
どこへも続かぬ帰り道を見る
マルドロールの夢に溺れながら
マシニックな笑いは見る影もない
叙情の彼方を探るように この岸辺にて
翼を休めるものよ 優しげな日差しと
聞こえ来る 春の訪れを告げる歌声
地に生けしもの総て 目覚めの刹那を夢想する
巡る季節の旋律は いつにもまして ....
君は言った
降り積もる雪に埋もれて死んでいきたいと
雪原に横たわる前に
あたたかく甘いコーヒーを飲んで
それから雪に埋もれたいと
その時はどうかわたしの手を握っていて ....
白線の内側におさがりください
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓 ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
1 2