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全ての言葉が、その海辺へと集まっていく
見送るためでなく
出迎えのためでなく
肩からの荷を下ろし
波打ちへと捨てていく
やりきれない空の起伏を
ひとしきり戦わせた後で
すこやかに
ただ ....
そこから音が消えてしまうと
彼は言葉で演奏を始めた
語るべき言葉を失う日のことを
ただ、朗々と奏で続ける
少しずつ無理な景色が増えていくと
喪失の夕暮れに出会ってしまう
燃える朝が安く ....
まだ声が上手くいけない
扉の前で迷っていると
ここまでの、空の履歴が落ちてくる
からっぽになれる瓶の底には
薄い眠気で、まだ僕がいる
軽くなった手のひらには
まだ水分が、残っていて ....
夜明け前に呼吸が足りなくなって
遠い地名を呼びながら目が覚める
ほんの、少し前まで
そこにあったはずの夢に
花を、植えたい
声の鳴る丘、霧降る峠、新しい駅の三番線
いつか出会ったような
....