たくさん命を傷つけたこの星
だからこそ
ここに住んでいたい
たくさん自分を傷つけたこの星
だからこそ
ここから離れられない
長い長い時間の中で
少しだけ見守った
深い ....
ひとりきりでいなくなろうと思った
特に悲しみなどないのに橋の上から
飛ぼうかと思っていた
わたしはみかんがだいすきだったので
最後に一つと思ってくちにふくんだけれど
あまりにおいしくなかった ....
あなたの目には
幹が映る
高いところの
桃はピンぼけ
時がたてば
桃は落ちる
そしてやっと
瞳に入る
かえで
水の かえで
誰のものにもならない鳥が
目をふせ
何かを見つめている
少しずつ
少しずつ ひらく羽
雨の朝のかたすみの火
濡れた葉の色
羽の色
....
外に出たら
死んでしまうんだって
だれかが言う
ほんとうだろうか
立派に育てるのは
栄養とか水をたっぷりもらえるからだって
だれかが言う
ぼくたち自身の
力じゃないんだって
白い ....
愛飢え
丘聞く
毛
濃さ
死す背育ちつ
手となりぬ根の
這ひ
増へ
穂
麻
実
夢
母屋
射ゆ
獲よ
羽を
無
秋晴れの朝
鎌を振るい
コスモスを刈る人がいる
汝、いずくんぞコスモスを刈るや
死せる人あり
慰みにせん
コスモスは萎たれるのみ、叶わず
奉ぐるにあらず
コスモス憎し
咲き ....
果実のように眠る蛇が
枯れ木の枝に揺れながら
見知らぬ少女に呑まれる夢を見ている
少女は蛇を知っている
眠ったままの蛇の頭を
深く口に含んだとき
無味の毒が舌を ....
あなたのすべてを愛すには
私の心は小さすぎて
二種類の雨とともに
時は流れて行きました
器に合った形を探そうと
野原に出かけて分かった事は
器には収まらないということ
なのでやがて縁 ....
手を広げてみると 大きなリボンが 私を包み込む
見上げてみれば どこまでも続く 青い空
ああ このまま 空気になりたい
いつでも どこでも まわりに縛られず
自由に 自由に
いつから ....
みずうみの底に咲く花
そのように
抱かれたい夜もある
深いあいいろの
一重の花びら
湖上の月はどこまでも細く
微かな光さえも
さざなみに散らされて藍きに染まる
....
目を閉じると
じんわりと
生まれてくる
赤い光
胎内で見た
原始の思い出
水と光を得て
地上に立つ
ヒトの姿
アフリカの原野
地平線
沈みゆく太陽
雨に洗われた
無数の星が瞬 ....
美しい憂鬱
高貴なる倦怠
曇り空の下のチューリップ
仔猫は路地を駆け出し
大きな黄色い車に轢かれた
子供たちはチョークで人型を描き
死体を学校の花壇に埋めた
その土によってしか咲けなかっ ....
宴のあとの
僕の部屋
いつもは物が歌っているのに
今日はみょーに
おとなしい
残った
ビンカンペットボトルが
楽しさを寂しさに変えていく