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背なか 背なか
もたれかかった珪藻土の壁には
真昼の温みが宿り
後ろから
春の衣をふうわり掛ける
あし
足もと
埃だらけのズックの下で
蒲公英は蹲り
カタバミが少し緑を思 ....
宵闇は
切り子細工の紅茶に透けて
紫紺も琥珀の半ばでとまる
グラスの中では
流氷が時おり
かちり
ひび割れて
薄い檸檬の向こうから
閑かに海を連れてくる
壁の時計は
ゆるり ....
季節外れのマリーナの隅に
ON AIRのオレンジのサイン
夜はそこにだけピンライトを当てる
思いのほか雪は強くなり
ラジオ局で流す古いジャズが
熱く火照って静かを乱す
厚い硝子 ....
数学が苦手だって言うのに
もう少女ではないから
計算違いは許されない
髪を伸ばすこと
それは可能性
ダイエットコークの味を好きになること
それは目論み
統計では
きみの ....
その指先に
凍れる紅をさし
頬の産毛を粟立たせ
きみは
街なかの雪に泳ぐ
手のひらで固めた結晶は
赤い目を探すうち
もはや雪でなく
氷の透明に変わっている
そんなにも ....
ポストがあんまり赤く誘うから
こっそり仕組んだ悪戯めかして
宛名にきみの名前を書いた
雪があんまりひっきりなしに
きみの傍に寄り添うから
水晶の珠を割って
ちいさな虹で
憂欝の左 ....
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