紅と雪うさぎ
銀猫

その指先に
凍れる紅をさし
頬の産毛を粟立たせ
きみは
街なかの雪に泳ぐ


手のひらで固めた結晶は
赤い目を探すうち
もはや雪でなく
氷の透明に変わっている


そんなにも雪を待ち
はしゃいでいるのは
何色の悲しみを忘れるためだろう


 南天の実
  ほろり

 針葉樹の黒
  ちくり


不意の言葉にたじろがぬよう
わたしは襟を
幾度か掻き合わせて
愛に似たものを逃すまいとする


灯油の匂いは儚くて
寒さばかりがきみに降り
銀のひと夜は更けてゆく


朝にはきっときみ
化粧を施して









自由詩 紅と雪うさぎ Copyright 銀猫 2006-01-20 21:25:27
notebook Home 戻る