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爪先から 這いあがる寒さに
冬を感じて
空を見上げれば
山からおりてくる風が
項に絡みつく
ふわ ふわ と
雪虫が 漂って
今年 最初の
風花を
運ぶ 風を
導く。
どんなに カッコよく
靴を鳴らして歩いても
右手に 長ネギ
左手に トイレットペーパーじゃ
ちっとも だ
所詮 君には 勝てないって ことだよ。
「とおり雨 だね」
虚空に 弧を描いた
その色を 数える
君の横顔 照らした
黄昏に あがる雨
濃く 深く
次第に 薄れて
君の 笑顔まで
消えてしまいそうな
夏の 幻
めぐり めぐる時と共に
あの花の香薫る 季節
甘く むせる 思い出の色も
今は {ルビ永久=とわ}に
鼻先を 掠めて
通り過ぎていく 季節に
涙は 見せない で