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まるで拭う事を忘れた涙が
頬を撫でる指と錯覚するように
幾度も呟いた愚痴や寂しさが
いまいち消化できない感情と共に
過去を奪って 未来を閉ざしている
奇妙なほど暖かい冬が黙々と過ぎて ....
窪んだ目と
掠れた声で
それでも
微笑んでくれた
あなたは
そうやっていつも
きっと辛い時も
きっと苦しい時も
我侭で屁理屈好きで
拗ね者を装う愚息を
だいぶ痩せたねっ ....
通り雨が上がったら
買い物に出かけよう
少し錆びたギターの弦と
磨り減って持ちにくいピックを
新しく買い替えに行こう
心にいつも引かれている
五線に音符を並べながら
誰にも聞かれ ....
天窓に響く雨の歌が
唐突に激しい叫びに変わり
秒針が半周も回らない内に
また静かな声に変わった
空の激情を表現した雲が
宵闇に何を描いたか知りたくて
僕は窓にへばりつき
....
詰め込まれたスケジュール
思い返しても変わるはずがない
時間を一つずつ手探りするたびに
何を抱えながら生きているのか
だんだんと見えなくなっていくよ
汗と香水と煙の匂いが立ち込める
博 ....
ふわりと柔らかな木地に
サックリとナイフを通して
微笑む君の目の前に
切り分けた木地を差し出して
キラキラのスプーンに乗せて
そっと口に運んであげよう
交互に頬張りながら
口に広がる ....
指を掛ける場所といえば
この妙に荒い木目くらい
引っ掻いては滑り
滑っては引っ掻き
繰り返すうちにやがて
登れるのだろうかなど
それは無意味な自問
冷静に見てみれば
立て掛けら ....
君の手はあまりに冷たいから
突然背中に触れられると
思わず身震いしてしまう
君はそんな僕の様子に
少しだけむくれてみせて
少しだけ拗ねた目をして
きっと笑ってくれている
離さ ....