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亡びたもののあかるさが満ちる夏の庭
もう誰も時刻を読むことのない白い日時計
茂みに囲まれた小さな池
茂みをざわめかせていた風がやむと
あちこちの陰にひそんでいた気配たちが
(それが何の気 ....
君が「孤独」と名づけた場所
そのさらに奥に
小さな部屋がある
くすんだ象牙色の壁紙
いくつかの黒ずんだ木の棚
そこには本 小函 硝子壜
円い置時計 何処かの土産といった風情の
人形や ....
そして私は迷い込む
静かな五月の夜
輪郭を失くした処に
複流し
伏流する時の中で
淡くオーヴァーラップするのは
私の意識と
君の意識か
(私とは)
(君とは)
谺のように出 ....
春の遠くに薄雷が鳴って
さみしい とか
かなしい とか
形容しても詮なく
雨は降り
菫の花を濡らし
己が
いともたやすく傷つく
ということに
また傷つきながら春の長雨
形容 ....