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目の前に一本の道が現われた。
この道を行けば、海に出る。
ほら、かすかに波の音が聞こえる。
見えてきた。
海だ。
だれもいない。
天使の耳が落ちていた。
....
手をコピーする。左手をコピーして、右手を
コピーする。腕をコピーする。左腕をコピーし
て、右腕をコピーする。顔をコピーする。光を
見ないように、目をつむってコピーする。肩と
胸をコピーす ....
夏陽がじっくりと焦がす
白い坂道の曲がり角
大樹の木陰、繁り合う枝葉
セミの声
見上げる少年と虫捕り網
身体を揺らしながら
爪先立って手を伸ばす少年
ぼくは坂を下り ....
I
どの、骨で
鳥をつくらうか。
どの、骨で
鳥をつくらうか。
{ルビ手棒=てんぼう}の、骨で
鳥をつくらう。
その、指は
翼となる。
その、甲 ....
ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア哲学者列伝』を読んでたら
アリストンという名前の哲学者が、ハゲ頭を太陽に焼かれて死んだって書かれていた。
べつに、ハゲでなくっても、日射病ぐらいにはかか ....
いますこし
あなたのかたわらで
あなたのつくる木陰に
わたしをやすめさせてください
かつて
あなたから遠く
遠くはなれていったわたしを
あなたの幹にもたげさせてくだ ....
順番がきて
名前を呼ばれて立ちあがったけれど
なんて言えばいいのか、なにを言えばいいのか
わからなくって、ぼくはだまったまま
(だまったまま)うつむいて立っていた。
しばら ....