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12月29日
今年最後の出勤の朝
玄関で飼い犬を抱きしめてやると
不思議そうな顔をして
それから頬を舐めてきた
ぬくもりというのは
無条件に愛しいもので
一度味わってしまうと
決し ....
もっと細くしなくちゃ
あなたとのペアブレスが入らない
片想いだけど
そんなこと考えながら
います
今すぐ空を解体せよ
今すぐ空を解体せよ
今すぐ空を解体せよ
人を恐怖に陥れ
不安と断絶に叩き込み
安楽を希望とし
不快感を絶望とする
空を解体せよ
孤独でうち震えている一人の少 ....
お母さんがぶらんこ
きぃ、とならす
視線を気にして
行儀よく、少しうつむいて
お母さんがぶらんこ
きぃきぃ、ならす
光の匂いに目を細めて
頬に風をあつめて
お母さんが立ち上がる ....
バレンタインなんて関係ないねと
モテない奴らがひがんでる
そして俺もその一人で
この時期だけチョコなんか嫌いだと
デパートの前で心の中で叫ぶ
今は仕事もないので義理チョコももらえません
義 ....
寒い北風が吹いて
暖かくないことに
少しだけ感謝する
もし暖かいのなら
この気持ちの代理人が溶けてしまうから
明日はこのわだかまりが取れるのだろう
それが少し不安なんだ
今の「好 ....
回転ドアからそとへ
出ようとしたのは
さっきまでの
ためいき
いまにも降りだしそう
きみを好きになってしまいそう
だからはやく
はやく
交差点のまんなかで
気付かれないように ....
カカオバターが 溶けて 溶けて
トロトロしてきたら
分離しないように定温でグルグルと混ぜていく
おいしくなーれー おいしくなーれー
コンデンスミルクの甘い香りが
溶けて 溶けて
だ ....
レジの前の募金箱
ある大学生は
その箱に強いナルシズムと虚栄心と
大量の無知を入れて
そして大量の汗を買った
ある若いOLは
その箱に大きな満足感と同情と
大量の無知を入れて
....
ちいさなものを拾いました
街灯の下では真珠のように見えました
家に帰ってながめるとパチンコの玉のようでした
六畳間の蛍光灯のせいです
蛍光灯のせいにしたので
もういちど
見直してあ ....
昔、あなたに宛てて書いた手紙
あなたが受け取らなかったので
まだ手元に残っている
手渡そうとすると
あなたは決まって困った顔をしたから
わたしは何故なのだろう ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった
呑んだくれた ....
1.
かみさまはいるよ、
って
教えてくれた人は
もうすぐ死んでゆく人だったけど
それは黙っておいた
だって、あいしてるんだ
2.
きのう、かみさまを見か ....
ぼくらはみな、生まれつき、
魔法をかけられているんだ。
その証拠に。
背がのびる。
歩けるようになる。
ことばをおぼえる。
好きな歌ができる。
好きな人ができる。
だれにそ ....
問い
「ドーナッツのあなだけ残して
ドーナッツを食べなさい。」
ふとんのなかで
かんがえた
ドーナッツふたりで食べこぼしながら
答え
は忘れてしまった
....
見えない
眼を見開いても見えない
眼を閉じたらなおのこと見えない…
「途切れてるところを教えて下さい」
息のぬくもりを感じるくらい耳元で、事務的に君が囁く
「分からないんです ....
「引越しするので手伝ってください」
久しぶりの幼馴染からのメールを見て
行くとあらかた荷物は片付いていたのに
ただ
アルバムや卒業文集が
ダンボールのわきに積み上げられていて
それが手 ....
台風は南西のほうへ
それていった
天気予報はそれで
終わり
みなれた日本地図のかなたに
台風それてよかったですね
まるで
それていった先の
島や
大陸には
人も犬も猫も
....
おどりばの大きな鏡に
一匹のやもりがぺたんと張り付いていた
どうやらぼくの前世のようだった
今世のぼくは前世のぼくを見て
ついなつかしくなってしまったというわけ
やあ…と声をかけた
や ....