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気がつけば
わたしは
人生を盗まれていた
わたしがしゃべる言葉は
どれも借り物のようで
まるで誰かが
わたしの口を勝手に使って
しゃべっているような気がした
誰に向かってしゃべ ....
ぼくたちが童貞だったころ
汗で肌に張り付いた
女の子たちの制服の白いブラウスは
未踏の大陸の地図のように見えた
街角の薬局の店頭では
小箱に入った不穏な計画が
巧妙にカムフラージュされ ....
胸騒ぎがするので
メリークリスマスと
小さな声でつぶやいてみた
すると
それが合図だったかのように
リンゴが枝から落ちる
落ちたら
すぐに
腐ってしまう
それはいつものこと
....
水の流れのはじまるところを想像していた
爪でつけた引っかき傷の薄くなって消えていくのを見つめながら
それはスピードについて考えることにとてもよく似ている
夕暮れはいつもゆっくりと訪れたかと思うと ....