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透明な午後の破璃に
音もなくつもる
春のひかり
硬質な伽藍世界に
微かな不協和音はひびき
その波動は宙へ
幾億光年の彼方へ
おだやかな春を伝える
{ルビ信号=シグナル}とな ....
きみの寝顔をみているととても安心する
熱をだし少し苦しそうな寝顔のきみは
いのちを懸命に燃やし
熱い息吹を吐き出している
窓のそとの大きな暗闇が
暖かいひとつの生命のように感じられる夜
....
なぜなら一遍の詩は
水蒸気で組成されているからです
ある一個人の無意識から生じた詩は
一瞬だけ完全な美の結晶となりますが
すぐさま跡形もなく消滅してしまいます
詩は遍在しているのです
詩は ....
夏の濁ったにおいに爪先立ち
砕け散った星々の欠片のような
宿命論として小さきものの
俺がいて
夕刻のオランダ坂には
永遠に落下することのない
光の粒子の螺子があって
それは緩やかに巻き戻 ....