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桜風にさらわれ春が来ました
小刻みに震える世界
ほとんど嘘みたいな青空にのびていった
飛行機雲のお絵描き
駆ける疾走鼓動
ブラックライトは光って光って輝いて
....
誰かの掌から滑り落ちたゴムホースの水が、誰かの足元の
地面のうえで、いつまでも意味もなくぐるぐるループしているよ
足元の芝生のうえで、いつまでも誰かの想い出の芝生のうえで、
ゴムホースの ....
朝の窓へ起き上がればいつも
眠りと夢の、仄明るいマーブルが
窓形の光に飲み込まれて、消える
その途端、光の中を雨のように下降する黒髪と
閉じたまま濡れてゆく傘の内側のように黙った胸 ....
じつは、人間じゃありません
きょねんの
夏の明け方に
とあるスクラップ置き場で
生まれました
ボクの名前は
ゴミトンと言います
なぜだかわからないけど
地面に落ちてるモノが好きです ....
空を切る指を
あたしは掴まずちょっと舐めて
堕ちてゆくのを只見てた
丁度太陽が沈んでゆくみたいに
爪にのせた艶やかなピンクベージュ
貴方に捧げるレクイエムになればいいな
足首に飾っ ....
『Mi-26(人工衛星)』
マゼラン星雲で起きた知的生命体の滅亡を十三年前に観測した人工衛星Mi―26は、もともとわれわれの星へアンテナを向けていた軍事衛星です。
この人工衛星に据え付け ....
流星群は行ってしまった
銀の光の尾は思ったほどの残像を残さず
地に這うものと宙空の距離を
夜という名で引き離す
星が流れる
わたしは物語として知っている、
祈りのかたちで
手を胸 ....
夜明け前 ぼくらの宇宙(そら)では
屋根ではじけた流星が うるおいの濃紺に飛び散るんだ
プレアデスの向こう 溢れ出てくる流星を
君の瞳に刺しゅうして
対になった星の光が ちかちか燃えるのを見て ....
ほら、前人未到の海だよ
砂は白
水は青
有機物は微塵もなく
死体は永久に腐らない
したがって問題は死に方なのだ
あまりに苛烈な孤独ゆえ
君は事態が飲み込めない
あまりに冷徹な執行ゆ ....
海と繋がっている
照り照りとした
小さなオパールをつまんだとき
海水の温度のようだった
人いきれにむせる空気の中で
そう感じたのは
単なる錯覚ではなく
この生命の何処かで
潮の ....
ひとつひとつ、はげしい輪廻のあとに、夜は摘み取られてゆく。現世の庭にしどけなく積み重ねられた夜の鏡像は、大地の核に至るまで、ことごとく破壊されている。光は輝くことをやめた。色彩はひろがることをやめた。 ....
送電線の下をくぐって
アスファルトの海を
ぼくたちは、
泳いで、
はりめぐらされる
緯度や経度に
足をとられながらも
ひたむきに
日帰りの旅をくりかえす
ねむる前、ときどき
....
歩き疲れた素振りを見せず
意固地なくらい背筋を伸ばして
灯りの少ない舗道を歩けば
月の兎と靴音だけがついてくる
無感情に道程を辿り
行く手を遮る列車を見送ると
何故かしら
乗りそ ....
星、呑んだ。
だけど
わたし、光らない。
2億5千万個の眼球の海へ
君はボートを漕ぎ出す
オールで眼球を叩く度に
そのひとつひとつが
グリグリ音を立て
歪んだ眼差しで君を見つめる
見つめる眼球に映るのは
どこまでも青い空 ....
初めてのつゆ入りを見上げていた日
雲を貫くプリズムに 神様の声をきいた
試練のときはいつか来るけれど
今日の良き日のあじさいの 透明な露を忘れないで
孔雀色の眼差しが十字架を射止めると ....
周遊バスは まるで回遊魚のよう
回遊魚は、一瞬でも泳ぐのを止めないんだよ
バスは
ライトアップされちゃって 水族館の魚だな
闇の中を 背広も流れるよ
中吊りの広告も 固まった ....
乱視の交差点が光にまみれている
穴に落ちてしまわぬよう
慎重に渡る
いつか
二人で広げた新しい傘の下
けれど赤と青は紫にはならず
個体であることのかなしみを知った
ほ ....
きみの寝顔をみているととても安心する
熱をだし少し苦しそうな寝顔のきみは
いのちを懸命に燃やし
熱い息吹を吐き出している
窓のそとの大きな暗闇が
暖かいひとつの生命のように感じられる夜
....
夏の濁ったにおいに爪先立ち
砕け散った星々の欠片のような
宿命論として小さきものの
俺がいて
夕刻のオランダ坂には
永遠に落下することのない
光の粒子の螺子があって
それは緩やかに巻き戻 ....
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