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吸う空気も青く滲む
朝はやってこない
黒の牢獄で
冤罪の者も、変わらず
皆と窓を眺める
暖かく使い古された
楽器はお手製の橙
だれともなく
響く、白、青、翠
次第に、黄、 ....
今日は朝から
角を曲がる犬にたくさん会った
いま目の前を歩いているこの犬も
やがては角を曲がるのだ
君にその話をすると
頷きながら聞いてくれたけれど
僕がどれくらいの角を曲がってきたのかは ....
死ぬか?と雪男君は行った
地球防衛軍には入れなかった
皆と一緒に卒業式にも出られなかった
この冬に二冊の同じ漫画を買った
真っ青な
春
1、2、3、4
退屈だよね
5 ....
ランドセルから鉄屑をまき散らし
小学生たちが歩いていく
賞味期限が切れて
生温くなった答案用紙を
噛み砕きながら
テレビで見るホームレスも
ここにはいない
家がなければ居てはいけない
....
私が信じる道を行けば
ローマであなたに
逢えるかもしれません
あの名高い階段で
映画と同じように
アイスクリームを手に
あなたを待っています
べスパに乗って
あなたが颯爽とやっ ....
だるまさんがころんだので
うしろを振り返ると
大切な人たちはもういない
草原のように広いものがただ延々と続き
中くらいの動物が
美味しくなさそうに草を食んでる
わたしは組成 ....
眼を閉じれば
夢もない空が続くばかり
あなたのために歌うつもりが
もう言葉を忘れた
無言の束縛などありはせず、結局は全て
あなたに委ねられている
数えることを怠 ....
身分証明書を
と言われて財布を探ったが
パン屋のレシートがぱらりと落ちただけ
カード入れにはブックオフのカードだけ
午後の図書館だった
カウンターのミセスは
住所と名前が記されている ....
今日の空はキレイでした
私は
雲海の中に忘れ物をしました
それは一匹の犬からもらった
大きな 大きな
夢
幼い私に
沢山の喜びをくれた
沢 ....
私の部屋には通り者が出ます。
半透明の身体に半透明の武具をつけて
ゆらりゆらりと私の部屋を横切ってゆきます。
私はかれを放っておきます。
かれの半透明の武具が鈍くひかるとしても。
そ ....
狭い場所に隠れて紅色の千代紙 汚す指先
日が暮れたのかどうか 誰にもわからない
落書きまみれの背中 千代紙をかえす
暗い朝にのまれて紅色の千代紙 汚す指先
何が悪いのかなんて 誰にもわから ....
おとうさんが両替機から吐き出させた100円玉を
両手いっぱいにかき集めて
UFOキャッチャーをした
飛行機を撃ち落すゲームをした
ルールがよく分からなくて
あっと言う間に死んでしまったり ....
またその話か…。
正直、私はうんざりする。何度同じことを言わせるんだこの人は…。私は、兄と一緒にほぼ絶望的な説得を続けていた。
私たちの言いたいことはひどく単純だ。足を悪くしたその人に、こ ....
もしも許されないなら
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
上へ登り
上へ登り
化石を探す
柔らかい
砂で出来た
化石を探す
黄色い砂の
あいだに隠れた
化石を探す
一人で探す
毎日
毎日
探す
化石を探していると ....
法廷は欠伸をした
誰かの祈りが
神様とやらを本気にさせて幾年
似たような顔をした善者が蔓延り
見えない所で殺し殺される夜が来る
朝はこの上なく赤色で
ボケ老人が懐古 ....
ひどく寂しそうな顔をして
いったいどこを見ているの?
私も君の視線を辿れば
同じものを見ることが出来るのかな?
近づきたい
そんな気持ちが
大きくなって
君と同じ所に
立とうと ....
1
・
閉ざされた
扉の中にふたりきり
彼女もしらない
わたしだけのきみ
2
・
きみの為
何もできないわが身ゆえ
泡となれる
人魚を羨む
....
ぼく、
で始まる作文は良くありません
と先生が言ったものだから
ぼく、は
とりあえず僕の事はおいといて
まるで明後日の方から見た事を
喋り出す
ぼく、は
ほんとの僕が見えな ....
君はうなずく
静かに
深く
深い
深すぎる
君は寝ている
僕は汁だ
先代から受け継いだダシに
自らの厳選した経験を加え
己の舌を信じ
独特の旨味を抽出したつもりだ
まだ完成したとは思っていない
君は麺だ
やわらかい泡で
大切に茹であげられ ....
一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
....
いつのまにか消えて行く風景を
私たちは いくつ持っているだろうか
記憶の中の風景が ひとつひとつ
消えて 入れ替わるたびに
在ることの認識は 立ちつくす
ある日 空き地になったところ ....
意欲は どこから わいてくる
自信を持つと わいてくる
自信を貰うのは
他人様
お蔭様 お蔭様
ひにくなことに
自信を奪われるのも
他人様
水面に浮かぶよ蒼い花
新月の夜ぱっと咲いたよ
誰かが叫ぶ声に震えていたよ
キミが怯える必要はないよ蒼い花
月を映してよ蒼い花
もっと煌きを僕に頂戴よ
光の粉を振り撒き続けてよ
何をそ ....
楽しい宴は夜がふけて始まり
欠けた月が昇ると
あなたは僕を残し
去っていった
残った酒を飲みながら
あなたの形をした
蛍光灯に映る煙を眺めながら
言葉の返ってこな ....
それは主張する誰かのための
すでに去り際の匂いと聞いて
そこで僕らは降り止まない話を
目的も置き忘れた夢の覚める際を
緩み始めた自信とともに消費して
今日もまた柔らかい部屋に
柔らかい床に ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
空の蒼が凍みるように美しい
夜の藍には、星と月が美しい
帰る場所を喪くしました
またひとつ
氷ったものたちが砕け散って、
ばらばらのこころを晒すでしょう
それでも
灰色の空はいつ ....
三才のおいっこが
坂道のうえの車庫から
インフルエンザの予防接種へいくぼくを
タッタと追いかけてくる
車があぶないから
きちゃだめだよ
ちゅうしゃしにいくんだよ
いたいいたいだよ
....
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