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暦の上では、冬至が過ぎたが、このところ、小春日和が続いていた。それが、一昨日あたりから天候が崩れ、今朝は霙交じりの雨だった。昼過ぎに雪に変わり、太一がパソコンの電源を落とす頃には、綿を千切ったような ....
その頃、私は建築請負の会社の現場代理人として働いていた。
朝の六時半に目覚まし時計を合わせ、車で出勤する。途中、牛丼屋チェーンで納豆の朝食をとり、タバコに火をつける。ヘルメットを被り現場に入ると ....
日が沈みかけたので金庫の現金を数え、出納帳に記した。数十円の誤差は、自分の財布から補填し帳尻を合わせた。電気、空調のスイッチをオフにし、扉に施錠しエレベーターのボタンを押す。エレベーターはがらんがら ....
朝のうちはみぞれ混じりの雨だった。昼を過ぎてから雪になり、ネリオがパソコンの電源を落として帰宅するころには、窓の外は綿を千切ったような雪片が舞っていた。
雪が降ると東京は脆弱な街だった。人々は軒 ....
えんじ色の椅子が整然と備え付けられた区民会館の端の席に、太一はめったに袖を通さない濃紺のスーツを着けて座っている。成人式らしく客席にはあでやかな色の和服を着付けた同世代の娘たちも目につく。館内禁煙と ....
その一行が消息を絶って、もう十年が経とうとしている。
彼らはシルクロードのオアシスの街で忽然とその姿を消した。一行を率いていたのは、私のかつての仕事仲間で、彼は日頃からいつ消えてもおかしくない雰 ....