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口の中に微かに鉄の味がある
コートの袖口が擦り切れている
錆びたドラム缶からはいだして
月下の廃工場を後にする
奏者を失って久しい機械が
ほの青く光る一群の風琴になっていた
鳥が飛び立 ....
白い海触崖の上
見渡す限りさえぎるもののない
広大な草原の真中にいて
両手を広げ
はたはたと
羽ばたく鳥のまねをしてみたり
帆のように風をはらみ
さらに白い空の彼方へと
消え入りたいと ....
その道は
街灯の小さな明るみの中に
白く浮かび上がっていた
様々な思いが通り過ぎていった
その白い舞台の上を
今日は
消え残る足跡がひとつ
闇の中に後ずさる
風が
粉雪と共に ....
冷たい壁の手触りを確かめながら
第十三使徒
死都
ネクロポリス
暗い地下道をたどって行くと
薄汚れた鏡に
見知らぬ男の姿が映し出された
肩をすくめた黒マントの中に
密かに呼び出される空 ....
その日の雨が
今でも時々僕の肩を濡らす
廃園の木下闇に
置き忘れられたブリキのバケツ
松葉を伝い落ちる雫が
想いおこさせる
もうひとつの心臓
眠れぬ夜毎
消え残る雫がほのかに光 ....
ねこじゃらしを持って夜空を散歩していたら
土星の奴が現われてクネ〜(´ー`)〜クネするので
おいこら輪っかんぼう叩くぞと脅してやると
土星の奴め お月様の後ろに隠れ
こそこそ輪っかを取り替えて ....
その人がやってくるのは
ほんの少し
光のかけらをわけてくれた
下弦の月の白い顔が
空に溶け込んでいく時刻です
おやすみなさい
お月様
インクびんのふたを閉めて
閉じ込めたのは月 ....
使っていない電話器が時々鳴る
コードは何処にも差してない
その受話器が持っていた番号は
もう何処にもないんだよ
遠い昔つながっていた
あなたの電話番号も
もう何処にもないんだよ
あな ....