すべてのおすすめ
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家を出ると
道端に
無数の舌が落ちていた
赤信号が
誰ひとり停められなくて
途方に暮れているような真夜中だった
舌たちは
うすべにいろの花のように
可愛らしく揺れなが ....
きみの魚にふれたくて
えら呼吸を切望したら
肺が痛んだ
朝への開口を防ぐように
その
呼吸のひとつ
くちびるを
置いていく
きみの鳥をとびたくて
背中にそらを作ったら
煙に ....
君に対する僕の心は
ほとんど愛で
蝋燭たてとか
傘たてとか
ドアノブとか
靴べらとか
そういうものに
僕はなりたい
....
空につるされた
大きなはねがまわる
からおとたてる
かいてんが どこか
はげ落ちたがいへきのさびしさ
人の形をしたうすいかげが
つめの先にあつまる
ことばを探している
おびえてかくれた ....
かしましい
と、鼻で笑うか。
構ったことじゃない。
一羽の兎が駆けるのよ。
雪肌の兎が跳ねるのよ。
あちらからこちらへ。
こちらからあちらへ。
草原を鳴らせ。
きゃ ....
回想もしていなかったから、寂しくもなかったのだ
あなたがしてくれたことが沢山あった
楽しい皿洗い
どうしてこうなってしまったのかなんて考えもしなかった
夢がお金に変わる
夢がやぶれたら灰になって
ぽろぽろぽろぽろと13階のベランダから舞い落ちてくるようです
生気を吸い取る青い布団というものが、
東京から一時間のあるアパートの一室に存在する。
大抵そこに住むのは働かない小説家で、ジェントルメンだ。
ジェントルメンとは、慎ましく、積極的でなく、淫靡 ....
倒れる
水差しが
ふとしたはずみで指先に触れ
ゆっくりと音もなく
まるで夢のように
倒れる
デイジーの{ルビ花弁=はなびら}が
こぼれた水の上に散らばって
白い沈黙
切なさに ....
彼はわたしにグレープフルーツを剥いてくれている
私が一房で満足してしまうと、次は自分のため、ゆくゆくはグレープフルーツのために剥けない薄皮を時間を惜しまず丁寧に剥いてゆく
彼は私のパンツの ....
なにかと鋭い恋人に
今日は特に死相が出ている
と言われたので
心配になって病院にいったら
思想だった
俺てっきり死ぬかと思った
良かった
とどのつまり
俺の頭ん中は
夢だとか希望だと ....
読まれて落ちる卵には、
きっとわたしの顔は付いていない。
だからどうぞお好きなように、
割って食べてくださいませ。
わたしの伺いしらぬ、
卵でございましょう ....
2007/03/15
投函したと電話したら
明日、読むのが楽しみです
ホワイトデーのチョコレートも
美味しかったです
と
言われたので
少しは脈があ ....
線路の砂利で小人を遊ばせていたら
石のすき間から雑草がかわいらしく
風がちりり、とふくので
小人達の草原はきらきらとゆれる
あぁ、世界はもう
やわらかな
父さんは
今週も仕事で行けなかったが
「きょうはどうぶつえんで
きょうりゅうとおほしさまをみてきたの」
少々想像力を要するユキの報告をききながら
夕暮れ
隣家の妹夫婦 ヨコヤマ家へ
....
「たいへんよくできました」
というスタンプがどうしても
自分のノートに押されたかった
先生にノートを渡しても
いつも「がんばろう」とか
「あとひといき」ばかりだった
同じクマのスタンプなの ....
嫌になるときだってあるよ
そう言うと
友だちは笑顔でうなづく
さほど広く無い部屋に
ふたつ机を並べ
四十六時中
お互いの気配に触れ合って過ごす
それでも机と机を隔てる
背の低い ....
雨ばかり降るこの町では
カーテンはいらない
孤独に悩んだら
さっさと一人で太ってゆけ
緑のソファーは
お尻の形にくぼんでいる
テーブルクロス
は少女のペチコートだったものだ
....
主婦の知恵
タッパーでお持ち帰りの
応用編
甘い言葉と
うるっとした瞳
肉じゃがが食べたい
愛と呼ばれたものを
箸で丁寧に
一つ一つ詰め込む
君は美食家
良質なも ....
桜を煩わしいと
思ってしまうのは
どうしても
思い出してしまうから
葉桜のほうが好き
そんな嘘をつくのは
桜そのものを
嫌いになれないから
どうしても
思い出す
あなたの頬 ....
息停めて
ほーっと階段一気にかけあがってみてん
一息ついて
階段の踊り場でふっと息をのむ
あっちゅう間に十段も飛ばしてしもうた
もったいないことしたかなぁ
そっと視線を ....
今朝春らしいものが突然に
額に寝汗として現れぼくはそのために頭が重い
ぐっしょりと水を含んだようだ
重たい頭はぼくをふらふらと外へと向かわせ
安普請のとびらを体の重みで押しあけ ....
そらはあんなに晴れているのに
君はないている
なかないで
と肩をだいても
なき止むことはなくて
ただ抱きしめて
おおげさだよ、と笑われて
それでもはなさないん ....
朝起きて
台所
ざくざく ことこと
朝食を
じゅうじゅう かちゃかちゃ
おべんと二つ
君はすやすや夢の中
ひどい
ひどいね
ひどいよ
君は
帰宅して
晩ごはん
テ ....
ホームで君が歌を口ずさむ
それはとても良い音なので
お墓のようなものと間違えてしまう
床に書かれた落書きが
羽をはやして飛び立とうとする
言葉はそんなことをしてはいけない
小さな子供が言い ....
「積み木」(1)
積み木積んで積んだ高さに驚いて
積み木積めば積むほど寂しくて
(きっかけなんてゆうものは
ほんのささいなものだから
一番下のどれか一個引き抜けば
....
生きる事は
生ける者
全ての
正義である
僕の命は
君の
命の
正義 ....
緑錆に走る
スレイプニール
星団の航行図
灰色の鬣に
潮の飛沫が煙る
猫が咥える
ドラウプニール
数える端から零れて
追いきれず諦めた
くつわの先
私の病名
嘘患い
確かに他の人より健康じゃないけど
他の人が思ってるほど悪くない
私が欲したのは心配
心配してほしい
とりわけあなたに心配してほしい
ずっと ....
ついに定規は曲がった
まっすぐにしか使われない自分が
悲しくなったという
まっすぐに測れるものなんて
世の中のほんのわずかしかない
そう思ったらしい
もっと柔軟のある生き方を求めて
現実 ....
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