季節はもう冬支度なのに
たんぽぽの綿毛になるんだと
あなたは言った
過ぎ去った日々を惜しむかのように
ひとびとは
大きな樅の木の下に集いだす
そんな季節に
たんぽぽの綿毛になるんだと
....
ここは田舎町だから
電車の中はいつもの様子
ポツンポツンと
どこに座れば良いのか
迷ってしまう
どうせ辿り着いてしまう
ガタンゴトン
揺れる
窓の外には
見慣れているという
さ ....
元結のほどけし髪
正体を弄り合ふ君と僕
追ひつ追はれつしては
群青の海に共に沈まむ
寂しきは浜辺の波音
灰色の日
カエルのせわしい声が
遠くからも近くからも
響いてくる
やりたいことをやろうか
やめようか
心が迷ってしまう日
銀色の日
車の通る小さな音が
遠くからも近くからも
大 ....
情報通の友人から
感情の食べ方を教わったので
早速今ある幸せをかき集め
ジックリコトコト煮込んでみたところ
これが何とも薄っぺらい味であった
アイスのフタを舐めているような
惨めったら ....
もう見えない昨日の太陽
もう見えない昨日の満月
もう見えない昨日の夕陽
もう見えない小さい頃の思い出
もう見えない君の笑顔
もう見えない世界の裏側
もう見えない僕の ....
恋というものにすがる
わたしたちは最大のかなしみだと思い込む
あなたが私を救ってくれるとおもっている
さようならをしよう
すきということばをのみこんで
むねのいちばんおくにたくさんつきさ ....
ぼくは詩人
人は人と一緒にいることで
何かの安心を得られるのかも
しれない
今日もまた
朝の散歩をしていると
1本の百合に出会いました
他の草や花よりも背が高く
誇らし ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
歯茎を剥き出しにして吠える
力いっぱい命を賭けて
八方塞がり敵の山
味方をつくってはいけません
明るくひらけた視界には
憎しみが眩しく照り返す
慈雨を
私に許しを
ささやか ....
君の背中にある八番は
誰がつけたというのか
躍動する大腿筋
身体から溢れ出していく汗
すべては君そのものだというのに
ただセンターとだけ呼ばれ
どこまでも白球を追いかけてく
スタ ....
石化した太陽が空から落ちてきた
遠くの海にポチャンと落ちた
みんなびっくりしたけれど
津波はやって来ないから
どうでもいいやと思ったそうだ
波に揺られて潮に流され
暗い海底をまりものように ....
つくんと
ときおり胸で感じる痛みを
悲しみのせいだとは
思いたくないから、僕らは
うたおうとする
好きな歌を
思い出せないフレーズで
立ち止まってはいけないと
覚えてるとこ ....
そいつがとっても残酷っぽい。
緋色の風が吹く
光は虹を放つと共に 大地の色を塗る
黒い影を一つ、また一つと丁寧に塗りつぶして真っ白な霧に包まれる。
柔らかな綿毛に光を通す蔦のカーテン
暗闇にもがく私を優しく ....
愛してるだのなんだのかんだのと言ったところで
結局はどれもこれも同じような事でしかない
と言う事には随分昔から気づいていて
仕方無いので、10ページくらいにわたって
ずっと「好き」とだけ書いて ....
明日もし君が壊れたら俺は君を殺して逃げて最期には野垂れ死ぬでしょうよ
カカトの削れたラバーソールを履いて足を引きずって
顔中の穴と言う穴から体液を垂れ流して泣きながら君の名前を呟くでしょう
....
緑色の蛇になった私の左手は
悪魔に魂を売り渡そうと
日々 画策している
私の目を盗んでは
悪魔の行方を捜し回っている
赤く先の割れた舌をちょろちょろと出しながら
夜な夜な
徘徊す ....
土曜日の夜に2件
日曜日の午前中に3件
電話がかかっていた
この週末ずっと部屋にいたぼくは
留守番電話が計5回反応したのを
全部見ていた
誰だってお断りのときがある
そんなとき
....
部屋はいつもGONESHのラズベリーを焚いて
赤いギターを吊るし上げている
ピックのネックレスを嬉しげにぶら下げた
あいつの部屋はいつも汚い
携帯電話の着メロをダウンロードしても
いつもマナ ....
涙を見せるのが恥ずかしいならば一人になればいい・・・
ただ僕は君の悲しみを、ぬぐってあげたいだけなんだ
もしそれがいやならば、そんなことはもうしない
けれどこれだけは、覚えていて
必要な時は、 ....
青い空から、紅の空にかわる
僕たちは照らされながら、ゆっくりと歩き始める
川の近くで君はふっと立ち止まって
「話したいことがあるの」
そうい言って、ベンチに座った
僕も、当たり前のように ....
逃げるんだ逃げるんだ。
鬼が来るから逃げるんだ。
家も家族も生活も、みんな捨てて逃げるんだ。
梅雨の雨に涙を隠して、
梅雨の霧に身を隠して、
蜜夜の闇に君は守られ ....
健康のために 今日は
詩をかくのをやめておこう
もうネタもないし
という詩をかいた
って 前にも使ったな
カレンダーが
隙間を 埋める
いちいち 並んだ文字
規則正しく
色までついてる
ななめに さいて
ずらしても
あくる日は 書いてなかったように
きちんと くる
時 ....
青い血管にハサミを入れて
肉と筋を離す感触で
君がぷつりと途切れた
昨日までの二人は
キラキラと
朝の睫から毀れる光の色
目覚めたら
赤黒く腐乱した血の色へ
どろりと染まって行 ....
太陽を盗んで、
穴に落ちて、
暗闇で、
空っぽで、
誰もいなくて、
誰もがなくて、
誰も待ってなくて、
遠くで、待って、くれなくて、
悲しくて、
苦しくて、
....
梅雨の雨にキスをして、
みなさんじめっとさようなら。
空っぽ空にキスをして、
みなさんからっとさようなら。
太陽の果実にキスをして、
みなさんおいしくさような ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
これは天使の羽の痕なの。
肩の傷跡を指差して、
彼女は笑う。
ここに白くておっきな羽があって、
ばさばさばさぁーって羽ばたいて、飛べたの。
でもね ....
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