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窓に
張りついた夏、
グラスの中で氷が
音もなく溶けていく午後
少し薄まったアイスコーヒー
にミルクを少し加える
ゆっくりと拡散していく、
ゆっくりと沈殿していく、
夏。

あの頃 ....
少女の
黒い髪に
よく似合う白さ
細い指に
切り揃えられた爪
あれは三日月の晩
まだ七つ、八つの頃
少女の
透明な瞳の中に
飼われた金魚
昨日の晩は
綺麗な橙をなびかせて
少女 ....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。

無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
あの子は 静かの森に行ったきり
戻らない
あの子はまだ少女で汚れも知らない
あぁ、ただ戯れてただけ

静かの森は
少女を連れ去ったきり 呼びかけても返事さえない

呼びかけるなら
少 ....
少女が、朝起きだして
足もとで夜の色をした猫の背を撫でる
まだ体温もあがらない内に
手のひらに忍び込む温もりに少し汗ばむ

私の温度ではない、と気づかないまま
薄いカーテンの裾を引く 細く ....
丘に立つ
ただ背伸びばかりして
何にも手が届くことがなくても、
輪郭を名乗っていた頃より 透明がはっきり見えるようになりました
透明を知った私は、そのかわり
色が体の底のほうに溶けていって
 ....
目が覚めても何かと手を繋いでる感覚があった、確かにあの頃は。



拾い集めて繋げた
羽根で決して明日に
辿りつかなかったのは
少し汚れていたせいじゃない


「ひみつ」という言葉 ....
夜が訪れたことに気づかないでいたら
いつが夜明けなのかわからなくなってしまった
区別がつかない 月は
欠けているのか 満ちていくのか
私の呼吸と 似ていた



{引用=お話と呼ばれる ....
{引用=そんなことより私、空を
さかさまに見る方法を知りたいの}


少女のすっと透き通った声
は何ものにも染まらない唯一
瞳は映した空を綺麗に切り取って
私はあの子に、
あの子の繊細 ....
空が、
ゆっくりあの日の
色を取り戻す

あれはオレンジと呼ぶには淡い
橙と名づけた空を
描きとめたスケッチブックはもう
色褪せて

何度もアスファルトの先に
思い出を見ようとして ....
藍色の少女は密かに夜の匂いを纏って
透き通った肌からは昨日が覗いていた
音もなく窓辺に降り立つと
そっと私の手に触れる ひんやりと
夜が私の体の芯に入り込む

裸足の爪先からは 夜が
生 ....
夏の日 帽子を残して
水平線の先が見たいと少女は

夕焼けが水面を染める
裸足で砂を踏みしめると
体温によく似ていることすら
知らないまま

空との区切りが曖昧だから
触れてはいけな ....
魚になって
私は、って
言うと呼吸ばかりして
じっとして動かないで
水面を知らないみたいで
もがきもしないでいて
心臓がいつもよりは速くて
手で掴んで
昨日の断片を拾えたら良くて
そ ....
揺れる

カーテンの裾の
ほころびに揺れる
春と呼ばれた香りが
部屋の中で静かに声を潜めて
消える
まばたきの間に
ひとつ、ふたつと零れる花びら
風が
新しい季節が来ることを告げる ....
うたをうたう さよならのうた
少女がうたうさよならは
やがて風になる
吹き抜けては行くけれど 
誰にもうたは聴こえない
今日もうたう少女はさよならを履いて
終わりに流れついた誰かのもとで
 ....
さっきからヤギが
書いた詩書いた詩を
遠慮なく食べてしまうので
一向に進まない
今日までに仕上げなければ
いけないというのに
ヤギはお構いなしに
食べる 食べる
おいしそうにしているの ....
つきはなく
ほろほろと
こぼれるよる
さらさらと
はしる少女
かぜをまとって
だれにもはなさず
だれともはなさず
ひとりきり
よるをいく
つきがなく
よるにひっそりと
さみしく ....
せかいの欠片が落ちていました

落とした人はまだ近くにいたので
「せかいの欠片を落としましたよ」
と声をかけると
「私のではない」
と言うので私が育てることにしました

指先くらいのせ ....
千波 一也さんの夕凪ここあさんおすすめリスト(48)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
溶け出す午後- 夕凪ここ ...自由詩13*06-7-7
月夜に溶ける、- 夕凪ここ ...自由詩7*06-6-28
無口な少女のうたう放課後- 夕凪ここ ...自由詩15*06-6-17
静かの森の- 夕凪ここ ...自由詩5*06-5-20
夜色をした猫と眠る少女の- 夕凪ここ ...自由詩6*06-5-13
丘に立つ- 夕凪ここ ...自由詩6*06-5-11
お話の切れ端- 夕凪ここ ...自由詩11*06-5-1
るーぷする。- 夕凪ここ ...自由詩8*06-4-26
明日には、さかさまだった- 夕凪ここ ...自由詩12*06-4-12
閉じた夏の日- 夕凪ここ ...自由詩4*06-4-10
藍色の少女と- 夕凪ここ ...自由詩10*06-4-6
水平線の先の- 夕凪ここ ...自由詩10*06-4-4
真似ごと- 夕凪ここ ...自由詩4*06-4-2
置き手紙- 夕凪ここ ...自由詩4*06-4-1
さよならをうたう少女のお話- 夕凪ここ ...自由詩2*06-3-19
コンクリート家族- 夕凪ここ ...自由詩5*06-3-17
よるのしじまに- 夕凪ここ ...自由詩2*06-3-11
せかいの欠片の育て方- 夕凪ここ ...自由詩5*06-2-22

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