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ひとつふたつと
どんぐりの実を数えながら
息子は
年の数をおぼえた

ぼく みっつ

小さな指で
小さな生き物のような木の実をつまんで
みっつの命をならべていたが

あっというま ....
いちまいにまいと
うすい花びらを放ちながら
わたしたち
星になりましたね

あなたに教わった
カタカナの星の名前は
異国を旅するようでさみしいです

星のように
輝くことはできない ....
水になろうとするように
魚が魚のかたちで泳いでいる
そんな潮溜まりでは
生きものの群れがまばゆいという


空を仰ぐひとは
吐息ほどの
祈りの水を浮力にかえようとする
浮いては沈む
 ....
夏は
山がすこし高くなる
祖父は麦藁帽子をとって頭をかいた


わしには何もないきに
あん山ば
おまえにやっとよ


そんな話を彼女にしたら
彼女の耳の中には海があると言った
 ....
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む


水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
 ....
ずっと向こうの
そのまた ずっと向こうの
背中の海で
泳ぐひとがいる


しずかな潮がつぶやいている


わたしたち
泡ぶくだったのね
小さな水とたわむれて
いつか
生まれた ....
雨が降ると いつも
あまだれをじっと見ている
子どものままで
いまも


樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
あまだれ 一ぴき死んだ
あまだれ 二ひき死んだ
あまだれ い ....
古い家の
納戸の隅とか仏壇とかに
小さな暗やみがいっぱいあったけれど
おばあさんがいつも座っていた
土間につづく台所にも
深い暗やみがあった

その暗がりに何があったのか
覗いたことも ....
コップに水を満たす


ごくり
夜のなかにひろがる
水域


遠い水を飲みこんでは吐き出す
夢のそとへ
背泳ぎで渡る


水が満ちる
遠くまで水が満ちる
とう ....
サチ子先生は
理科室でメダカを飼っている
先生の白くて細い指が水槽に触れると
メダカは狂喜して泳ぐ


メダカは十六ぴきいる
一ぴきずつに名前をつけたいの
クラスのみんなの
と先生は ....
地下の機械室で
とつぜん白熊が働くことになった
あの北極の白熊である
会社では白熊も雇わなければならない
そのような法改正があったらしい
私の部下として配属された

初対面のとき
イッ ....
僕の手が
僕の指が
父の手にみえることがある

どこからか父の
僕を呼ぶ大きな声がきこえてくる
指さす先には誰もいない
声だけが耳に残る

七年ぶりに
父の洋服ダンスを開けた
 ....
駱駝が
ゆっくりと通り過ぎるのを
ふたりは
石の窓からみている


駱駝は寡黙な動物だと
女が言う
男もずっと
駱駝の言葉を探していたのだが


砂嵐の中へ
ときどき駱駝 ....
星をひとつもらった


夜空がすこしだけ暗くなって
そのぶん
ぼくの夜が明るくなった


きみに手紙を書く
いくども書き直したので朝になった
星のことは書かない


ぼく ....
夜ごと
小さな星から星へ
色とりどり
おはじき遊びのようでした

きいんと澄みわたった音がして
そのとき
宇宙は大きな円盤でした

まわるまわる輪廻転生
虫から花へ
花から虫 ....
ゆうがた
ひとびとの背がかなしい
ひとびとの背を超えてゆく
魚がかなしい


水が均衡する
まずめどき


幻想の水をしなやかに
幻想の魚がおよぐ


しのびよる色が
 ....
きょう
ぼくは少年だった
両腕をいっぱいに伸ばして
いちにち
空を憧れていた

ぼくのノートは
かなしい文字でいっぱいだ
さようなら
さようなら
みんな さよ ....
星と星をつないでゆく
あなたの指の先で
翼をひろげた白鳥が生まれる

古いギリシャの名前が覚えられない

翼は夜のかたち
それなのに星と星との距離を
越えることはできな ....
あれはきっと
生きものが群れている音だ


口をすすぎ
顔を洗う
そんな朝の水で


生きるために
毎日タマゴを食べる
塩の加減は
これでよかったかと自問する


 ....
初潮という言葉と海とのつながりとかを
ぼんやりと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
私は学校へ行けなくなった

私は紙のにおいが好きだった
鼻をかむ時のティッシュのに ....
おまえに綺麗な紙のきものを着せたったら
紙人形のように可愛いやろなあ
そんなこと言うてはったおじいちゃん
いつのまにか
紙のおじいちゃんになってしもて

あれは風のつよい日やった
 ....
千波 一也さんのyo-yoさんおすすめリスト(21)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
どんぐり- yo-yo自由詩8*07-10-19
コスモス- yo-yo自由詩8*07-9-21
かたわらに魚のかなしみ- yo-yo自由詩14*07-8-31
つくつくぼうし- yo-yo自由詩23*07-8-17
流れる- yo-yo自由詩8*07-8-3
背中の海- yo-yo自由詩9*07-7-27
あまだれ- yo-yo自由詩12*07-7-13
夏は、山の水が澄みわたるので- yo-yo自由詩16*07-7-6
水域- yo-yo自由詩9*07-6-29
メダカ- yo-yo自由詩13*07-6-8
白熊- yo-yo自由詩11*07-5-25
- yo-yo自由詩10*07-5-4
駱駝(らくだ)- yo-yo自由詩9*07-4-27
ぼくの星- yo-yo自由詩19*07-4-20
ナイトクルージング- yo-yo自由詩10*07-3-31
ゆうがたの魚- yo-yo自由詩18*07-2-16
ぼくは少年だった- yo-yo自由詩12*07-2-9
星座- yo-yo自由詩506-7-18
潮騒- yo-yo自由詩305-10-6
ペーパーホーム- yo-yo自由詩9*05-5-25
紙のおじいちゃん- yo-yo自由詩16*05-5-18

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