すべてのおすすめ
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心
はるか、 はるか ....
眠りに落ちると
いつもそこは凍夜
誰にもじゃまされず
暗闇を独り占めする
外ではひどく激しい気流
雲で空に恨み言を描き付けて
あのころって、いつだ?
わたしたちって、 ....
私が眠っている 界の隙間で
空がどんなあくびをしているか
そんなことが知りたくて
目を覚ますと、忘れてしまう
後頭部に焼き付くような
落日のあの色を
惰眠のみやげにしようと
まぶたに ....
今日は丸い椅子には
座りたくなかった
道を失いそうなときには
肘掛けはついてなくて
それ以上はないというくらい
角張った椅子がいい
座るという緊張感が
癒されてはいけない
立っ ....
空が誰かのものであって欲しいと思う
できれば、あなたの
すすき すすき かぜのわだち のこして
あなたがいない世界に
意味がないのではなく
あなたが見捨てたこの世界に
あなたは ....
あたたかな深い世界と
冷たく閉ざされた陸地の
あいだにおかれたからそれは
あなたに触れたときの私の肌
のように、あしもとでざわめく
むねのどこかで
小さなちいさな六分儀が
あやふやに極星 ....
今夜はひとり、僕の手を取る君は
楽しそうに自販機のコーヒーを買う
立体駐車場の屋上に君は車をおいたという
スロープを二人、手を繋ぎながら
(君の子供は眠っている頃)
誰にも照らし出さ ....
くぐり抜けていく
いつも裸足だ
闇のそばでは
どうして自分だけは
かわらなくていい、などと
つぶやいていたのだろう
ああ、それはちがうよ
タングステン
熱で溶 ....
ラジオで流れたちょっと古い歌に
思い出す学校の教室
見上げると野焼きの煙
校庭の空にあいつはいない
工場跡がショッピングセンターにかわる
空を割っていた煙突が消えて
秋の花 ....
いくつかの橋が
思い出せないでいる
名前を覚えなかった川の
こちらとあちらを
思い出せないかたちで
きっといまもつないでいる
完全なものが美しいと
君は言うけれど
不完全なものは
....
紅葉が近づく{ルビ樗谿=おうちだに}は
とうめいなたくさんの蛍が
言葉だけつまった
名前だけの思い出を
夕暮れにかえそうとする
いろだけになってしまう
ぬくもりを失うと
とうめいにな ....
真新しいランプで
秋の波を
どこまで照らせるだろうかと
また、
鳴き砂の浜辺で
波泡のざわめく
境界線を見つめている
小さな音を立てるのは
そこに居たという証で
胸の奥に
忘れ ....
緩やかな曲率で
道は行き止まりまで続いていた
そこより遠い場所を
知らなかったので
墓標はその岬に、と決めていた
漁火の整列する底には
冷たい海流があって
行き止まりの
もっと向こ ....
月が消失点のようだ
描かれた風景は
オルゴール、オルゴォル
ピンの抜けたドラムの内側で
漏れる光を、星だと
僕たちはささやきあったね
モルモットの遊具のように
夜空をまわし
時計の ....
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです
運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のよう ....
あなたのもとに
つながっているだろうかと
また海に来てしまった
彼方の水平に
上昇気流の痕跡が偏西風に流れて
波間に姿も映さず高く飛ぶ
渡る鳥、それよりもずっと星のそばで
焼かれる今 ....
夜の長い季節がめぐって
今年もまた
潤んだ果実の薄皮が
あなたの細い指先ではじけて
枯色の穂の律動
その春のようなくちびるに
すべり込むのです
かわききった大地で
....
君と
君の子供と
動物園へ遊びに行く
動物園のない町に住んでいるので
キリンもカバも見たことがないからと
地下鉄に乗っている間も
図鑑で予習に余念のない二人を
窓鏡に映る姿で見つめる ....
魚の名前や花の名前に似ているけど
それとは違う言葉
直線ではなく曲線にも似ていない
それでも閉じている言葉
数え切れないそれらを
生み出しては忘れ去り
墓標をたてては
思い出と気取っ ....
輝くものはいつも
はるか遠くに置かれる
届かないとわかっていても
暗闇の中で
求めてしまう
温もりのない光とわかっていても
そこで燃えているものを知っている
そして永遠を誓ったりする ....
波や風は待つものなのよ、と
長い髪を旋律で
砂浜の反射が切り抜いて
細めた視線の届く先に
僕の胸は高鳴る
星座盤の小さな窓から見たように
君のことを知ったかぶりしていた
そんな気がすると ....
お店を出してくれたあの人は
やさしいひとでいい男だけど
私の好きな人じゃない
5年もごまかしてきたけれど
もう、避けられないみたい
貴女はそういうと
二人きりになった店の灯りを落と ....
改札を抜けるように明日が来るのです
明日が毎日、未来であると信じるひとたちが
道端にこぼれてこびりついたジュースまみれの
自分の影を踏んでいるのです
カタチあるものだけに価値があるかの ....
夏を飛び越えてゆく
あの雲を焼く
それは炎ではなく
蝉の声だったりするのだ
蝉よ焼き尽せ
雲を鳴き尽せ
ただ激しいだけの
夏の日差しにひからび
立ち尽くす老木が
通り雨に打たれて
季節の終わりの
重苦しい空に投げだす
涙をのせた
手のひら
(それはわたしじゃない、わたしじゃない)
....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい
大切に飼っていた金魚を
....
祖父は
海軍士官学校の先生だった
手を合わせる横顔に
平和を祈っているのかと訊ねたら
そうではないと小さく呟いた
悔やんでいるのだと
小さく呟いて、そして
祈りは何も変えないのだと
....
夜よ深まれ
闇はもっともっと深くまで
暗く、黒く
私の胸に小さな灯り
ゆるりとめぐる闇となり
深く、深く
包み込む暖かさや
優しさなどいらない
そんなものはいらない
ほし ....
私はあなたから生まれたというのに
もうそんなことを忘れてしまって
自分だけの死を抱きしめていた
まるで沈むために港を離れた
あのポンコツな捕鯨船
たった一つの獲物を射るための{ルビ銛=もり} ....
海沿いの盆地にみちた
湿気と体温と上昇気流の
かたち、あの夏の雲
想いだけが熱いから
激しくゆらめくように
それでも
倒れるわけにはいかないから
ひとしきりの雨を
足跡にするのでしょう ....
千波 一也さんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト
(291)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
旅程、もしくは別の呼び名で
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-12-10
凍夜
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-12-8
目覚まし時計を止めたまま
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-12-4
丸い椅子に座りたくなかった
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-11-24
だれのものでもない
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-11-18
波、とはもう呼ばない
-
たりぽん ...
自由詩
18*
06-11-12
都会の屋上に月を見に行く
-
たりぽん ...
自由詩
9*
06-11-7
でたらめな星の水族館
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-11-4
僕たちはあの頃にいない
-
たりぽん ...
自由詩
9
06-11-2
沈下橋
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-10-27
砂丘で蛍を見たあいつ
-
たりぽん ...
自由詩
15
06-10-19
満ちる、まで
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-10-13
風、とまどう鳥よりも
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-10-8
いちばん_遠い夜
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-10-5
冬告鳥、海風に吹かれて
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-10-2
相聞、漕ぎ出せば海
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-9-24
春の葡萄
-
たりぽん ...
自由詩
18*
06-9-23
天王寺動物園に動物を見に行く
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-9-19
大人になって、僕は
-
たりぽん ...
自由詩
18*
06-9-12
今夜、輝くものは遠く
-
たりぽん ...
自由詩
16
06-9-7
岬にて、星を見る
-
たりぽん ...
自由詩
17
06-9-6
茉莉花
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-9-2
駅・秋葉原
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-26
くもをやくなら
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
16
06-8-25
木々の行方
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-8-20
明るい雨の昼下がりは
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-17
(祈りの場所は遠く、はるかに離れて)
-
たりぽん ...
未詩・独白
12*
06-8-15
流し灯籠
-
たりぽん ...
未詩・独白
10
06-8-11
生まれたことも忘れて
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-8
足跡、夏の
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-6
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する