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真っ白い雪
降りたてのやわらかい絨毯
靴の底
磨り減るほど磨いても
素足になっても
足を入れれば汚れてしまう

あれは幼い日
唇を舌でなぞっては
はみ出した
北風に吹かれて
鼻の ....
筆を忘れて眠った
三ヶ月間はあっというまに過ぎ去って
蜜の味は蒸発した

  ゆくらゆくよ
  ふわりふわる
  さらさらとまるく
  なにぬねのの
  おとなしい春に

今日は鶏 ....
細胞は古くなる
からからに渇いて
白い皮膚が覆う
脱皮できないあたしは
留まる罰も知らない

誕生日ごとに新しくなる
「おめでとう」の一言に
どれだけの意味があるのか
わからないまま ....
誰も批判しない箱の中
ぬくぬくしていて気持ちがいいよ
でもね、世界は
箱の外でまわっているの

  天の川は決壊しました
  あふれた星屑は
  流れて地上へ旅に出ます
  口を開ける ....
星であふれる空
肉眼でみつめすぎた
つぶれた心は
唾液で癒して
ぬるくてあたたかい
それは探していた光

  手を伸ばせば届いた
  いまは幻にさえ触れられない
  漂う粒子は
  ....
切なさに押し倒された心は
バクテリアに分解されて
影もなく
跡形もなく
消滅します

そう、だから
安心して眠るといい

悲鳴は求めています
私はマジックアワーに焦がれ
真っ赤に ....
それはネオン街の影
砂に犯された風が吹きつく夜だった
あたしはナイフを握っている
突き立てることも
振りかざすことも出来ず
光る先は柔らかい皮肉
自転車のサドルに砂が積もる
星の粒子がこ ....
どこにいても
ここにいても
みんないってしまう

――節目の春

大切なものほど遠くへ
あたしは呪った
世界を
運命を
孤独を
この身に触れるすべてを

たくさんのさよなら
 ....
死んでしまった
わたしは
ゾンビのぬけがらを探している
腐っても腐っても
失いたくない何かを
無くしたがっている

母の抱いた夢を
娘は黙って飲み込んだ
いいも悪いも ....
シャワーの湯をはじく肉体だけが
あたしの存在証明だなんて思うのは
虚無があたしを支配しているせいだと
決めつけるあたしは果たして醜いか
濡れた髪の毛を顔中に貼り付けて
嘲笑した口元は
誰か ....
古いあたしが褪せてゆく
散った涙に悔しさを流す
太陽がはがれる
淡い憎しみが滲む頬
ぬぐって、
ぬぐって!
ぬぐってよ!
手の甲を焦がすほど強く
きっと皮膚の再生は追いつかない
きっ ....
(シタ ヘ マイリマス)
機械の声が言った
まちがえた
私は上に行きたいのに
すくんだ
無情なドアーは閉じられる

上下する箱の中
人が乗っては降りてゆく
重力に逆ら ....
夕暮れ、
伸びた影はわたしを捕まえにくる
ああ、なんてだるい

わたしの中にある
空に包まれた大地の上
鎮座する額の汗
伸ばした髪はわたしの意地です
おなかがいたいよ ね ....
迷子のきみはどこへ行く
手招きしている水辺の鳥が
晴れの舞を披露している
ぼくは明日へ帰れない

  目を閉じれば夢の中、(嘘)
  頭は枕の上 の ママ
  魂は離れている ....
よく晴れた日曜日の朝
洗い立ての心臓を
物干し竿に干した

切り離された動脈と静脈を
洗濯バサミでとめて

(ぶらぶら)

風に揺れるその動きが鈍い
滴る雫が陽光に照 ....
記憶に新しいのは 笑って過ごした日々
私はあなたが好きでした
それだけでよかったのです

あなたと私のあいだは
隙間のような からっぽの距離がありました

無防備な あなたの左手を見つめ ....
もしもなんて
所詮どこにもない
ここに生きている事実はくつがえらない
わたしたちは観念して謳歌するしかないのです

疑いも醜い感情も溶かして
夢の軋む音に耳を澄ませて
わたし ....
夢は過去に溶かされた。
空気中に漂う粒子がやわらかい光を放つ。
それはきっとあたたかい。

立ち止まっているのは動けないだけ。
迎え撃つのは簡単だがこの手で仕掛けることはできない。
腹痛が ....
人の気持ちを量ろうとした
わたしは許されてはならない存在

持病か仮病かわからない
肉体か精神かわからない
弱気になったわたしはきみにコールする
待ち合わせの三十分前
「やっ ....
幻影に怯え現実に目をつむる
そんな大人になってしまいました
あたしは{ルビ二十歳=はたち}を過ぎたモラトリアム

あんなに幸せを感じた日々もあったのに
持続できないあたしは罪人のよう ....
公衆浴場のぼんやり広がる湯気の中
いろんな裸がごろごろしている
あたしだって そう
ひとつの肉の塊に過ぎない
すべる足元にご注意を――――
それにしてもここの照明は明るすぎます
 ....
僕らは約束をかわしていた

生まれてから今日まで一人で生きてきたつもりになって
世界なんてクソ喰らえって
地面に唾を吐いたりして
反抗心を燃やすことばかりに夢中になって
大切なも ....
胸が つんと 詰まる
まるで涙をこらえているみたいに つんと
こぼれそうなこの思いは なんだろう

真っ白いシーツ 物干し竿でなびいている
舞い上がる 太陽を包みこむように
ひる ....
  死ぬのが怖いなんて錯覚だ
  誰かに死なれることの方が
  よっぽど怖いじゃない

ブランコに腰をおろした
背もたれのない背によりかかり
ブランコはあたしごとひっくり返る
 ....
青空から真っ白い
雪が落ちてくる
所在なきものたちが
幸福を連れて
地上にやってきた

見えないところで定着
成長する細胞のはじまり
子宮でお遊戯会が催される
喘ぎ声 ....
 一

退屈と虚無が蓄積された日々
人生という大それた響きが
重くのしかかるから
あたしはかしいでいく

日々が圧縮されて
密度を濃くして体積を狭めていく
その重みは保っ ....
髪を撫でた
わたしはあなたを支配する
やさしさを武器にねじ伏せる

ひとたび体を差し出して
されるがままにされてしまえば
ほんの少しの自由が得られる
けれども
代償を払い続けるのに
 ....
遊び明かした夜も終わり
よそよそしい朝の光が
地上を照らしている
空気はまだひんやりと
あたしの火照った心を冷ましていく
刹那、
解散という空虚が胸をよぎる
そんな夜明けを嘆いた

 ....
ねえ ドクター、聞いてほしいの
あたしの悩みはひとつじゃない
たくさんあるから どこかつらいの

ハロー ドクター、聞いてほしいの
あたしの心の一番近くにいる友達が
遠くへ行って ....
{引用=
無意味に
ただ流れる涙に
その意図を知りたくて
それは無意味で、
わたしはゆれる
ゆれているんだ
}
だって、あなたはスーパースター
闇に攫われた少女を助けて ....
恋月 ぴのさんの百瀬朝子さんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
真っ白い雪- 百瀬朝子自由詩412-4-17
ふりだし- 百瀬朝子自由詩512-4-5
When_do_you_kNow?- 百瀬朝子自由詩211-5-20
私たちの世界- 百瀬朝子自由詩9*11-3-31
君のいない国- 百瀬朝子自由詩6*11-3-15
廃退、わたし- 百瀬朝子自由詩6*10-7-29
独白、あたし- 百瀬朝子自由詩3*10-6-8
春、あれから- 百瀬朝子自由詩2*10-5-3
初夢- 百瀬朝子自由詩6*10-1-3
失望を抱く- 百瀬朝子自由詩2*09-11-15
水平線- 百瀬朝子自由詩3*09-11-10
辟易のエレベーター- 百瀬朝子自由詩3*09-11-5
混沌- 百瀬朝子自由詩4*09-10-28
未来への距離- 百瀬朝子自由詩3*09-10-7
洗濯- 百瀬朝子自由詩7*09-9-29
秘め事- 百瀬朝子自由詩9*09-9-19
向背- 百瀬朝子自由詩5*09-9-9
光の粒子が紡ぐ光- 百瀬朝子自由詩5*09-8-25
病い- 百瀬朝子自由詩7*09-8-12
二十歳を過ぎたモラトリアム- 百瀬朝子自由詩7*09-7-7
パブリック・バス- 百瀬朝子自由詩7*09-6-22
世界とゆびきり- 百瀬朝子自由詩5*09-5-30
しめったシーツ- 百瀬朝子自由詩4*09-5-15
Night- 百瀬朝子自由詩10*09-4-24
空虚を越えて- 百瀬朝子自由詩8*09-4-16
Days- 百瀬朝子自由詩6*09-4-14
計算的な衝動- 百瀬朝子自由詩4*09-3-29
朝帰り- 百瀬朝子自由詩7*09-3-21
オー・マイ・ドクター- 百瀬朝子自由詩2*09-3-13
だって、あなたはスーパースター- 百瀬朝子自由詩2*09-3-9

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