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このひとつぶに幸いあり
このひとつぶに不幸あり
不ぞろいに置いたそのつぶを
くちびるに含んで夢を見る
あのひとのくちづけを
あのひとのかんしょくを
私の恋はいまだ熟さない
....
(ヴァンサン)
窓の外に君の姿が見える
やわらかい草を裸の足裏で踏みしめて
君はこれから川へ泳ぎに行くという
もう透き通った水は冷たいというのに
君は白い歯を見せて
{ルビ銀葉=ぎ ....
燃える指くちびる含み恋をする
サルビアそれは紅い吐息に
ひそやかな風にするどき心こそ
コスモスふるう恋の歓び
咲き誇り頰よせたその黒百合に
....
陽ざかりに
影がゆれる
塀の上に
白樫が緑の枝をのばし
陽ざかりに
光がゆれる
そこに咲いている
荒地野菊の花
寡黙な額に
風が吹き
みつめる心も
そっと ....
衰えて炎もいつか褪せゆくか
{ルビ終=つい}の火を燃せオルフェの夏よ
竪琴の{ルビ絃=いと}のふるえに夏は逝く
{ルビ全=また}き夜空に呼び声はるか
{ルビ初風 ....
ピアニストの繊細な指だ
白い鍵盤をすべってゆく
まるで水鳥の夢見る羽ばたきにも似た
あるいは
まだ見ぬ色彩を生み出す画家の
狂おしいまでにあざやかな指先
{ルビ天地=あめつち}を踊る風の曲 ....
西陽が傾いてゆく
風を追いかけながら
オレンジの雲は次第に細長く
なつかしい言葉をそっと隠していった
暮れなずむ野辺は一面の草海
薊の花の谷間に静か
蝶がいる 淡い光のような点が
....
恋はもう忘れました
涙はもう忘れました
夕暮れ 野辺にぽっちりと
紅く咲く花は火を燃したようで
その火に触れたら焼かれてしまう
心も指先も あの日の記憶もすべて
恋は忘れました
....
やがて
夕闇に閉ざされる海の
光る航跡を追いかけて
白い波間に漂う一人ぼっち
私の貝殻は声もなく
草合歓の葉陰から
かすかにもえる月を見た
藍青の波間にひかるものは
あれは はるかな昔
指から落ちた曹長石のかけら
青みをおびた涙の石の粒
もしも
月の淵から水音がしても
蠍が ....
放課後のプールサイドに一人きり石を投げれば割れる太陽
まだ細い腕もいつかはヘラクレス鏡にうつる半裸少年
肝だめし墓場を歩く君とぼく怖くないよと結ぶゆびさき
花火あがる綿菓 ....
さびしくなったら
花咲く野辺へゆこう
ごらん
{ルビ凌霄花=のうぜんかつら}に蝶がぶらさがる
月の光がさしこんでいる
誰もいない部屋
片隅で
灰色猫が爪を研ぐ
テーブルの上には
開封されることのない手紙
赤い切手の消印は───
窓の外を
遠い汽笛が通り過ぎてゆく
....
通り雨がきらきら光り
僕の目に髪に肩に降りかかる
誰もいない薔薇園にひとり
堅く閉ざされた空を見つめていた
傘もささずに僕は
風に心をさらされたまま
果たされなかった約束は
いま ....
白い雲青らむ渚描いてく
心の色は自由自在
砂浜に続く足あと追いかける
麦わら帽子風のステップ
海の色変えてゆくまに一瞬の
楽章を見る{ルビ波濤=はとう ....
水が
光のように満ちる
その上に折鶴を浮かべ
はるかなその波紋を数える
夏の野は風の{ルビ恋歌=マドリガル}
花摘みの少女は一心に
草のまにまに漂っていた
白い花ひとつ{ルビ挿頭=かざし}にして
赤い裳裾をしめらせながら
濃厚な夏の匂いがたちこめる
姫百合の花 ....
紺碧の輝きの海に
許されぬ恋が眠っている
静かにそっと おののきながら
それは波間に漂う白い貝
だけど 今日は
海へ漕ぎ出した
その想いを摘みとるために
真珠とり
真珠とり
....
{引用=夜を裂く青星の爪 雄たけび上げ
駆け下りて来い わたしのなかへ}
夜の天蓋に{ルビ静寂=しじま}はこぼれ
瞬くのは
ただ蒼い隻眼
その牙は光り その爪は光り
そのたてがみは光り ....
恋月 ぴのさんの石瀬琳々さんおすすめリスト
(139)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
葡萄の夜
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石瀬琳々
自由詩
17*
06-9-15
ヴァンサン、夏の終わり
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石瀬琳々
自由詩
13*
06-9-8
花言葉Ⅱ
-
石瀬琳々
短歌
12*
06-9-5
ゆれる
-
石瀬琳々
自由詩
16*
06-8-29
オルフェの夏
-
石瀬琳々
短歌
9*
06-8-22
美しい指
-
石瀬琳々
自由詩
18*
06-8-19
はるかなるオーチャードグラス
-
石瀬琳々
自由詩
9*
06-8-11
恋忘れ草
-
石瀬琳々
自由詩
12*
06-8-4
渚にて
-
石瀬琳々
自由詩
18*
06-7-26
緑の月
-
石瀬琳々
自由詩
17*
06-7-24
【短歌祭参加作品】半裸少年
-
石瀬琳々
短歌
24*
06-7-21
夏
-
石瀬琳々
自由詩
9*
06-7-18
真夜中の夢
-
石瀬琳々
自由詩
10*
06-7-15
恋の名残りに
-
石瀬琳々
自由詩
7*
06-7-13
海の画帳
-
石瀬琳々
短歌
9*
06-7-4
静か
-
石瀬琳々
自由詩
14*
06-7-2
姫百合野
-
石瀬琳々
自由詩
12*
06-6-30
真珠とり
-
石瀬琳々
自由詩
15*
06-6-23
シリウス
-
石瀬琳々
自由詩
12*
06-6-9
1
2
3
4
5
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