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終りのない雨が降り続く若い群島の
決して更新されない、
カレンダーに刻まれた記念日が忘れられる夜、
過去を映さない鏡のなかの燃え立つ暗闇を、
瞑目する叙事が、鈍い輝きを浮き立たせている。
....
海の窓に一面咲き誇る、
世代の階段を降ろしているひかりの樹木が、
紺碧の空の濃度のなかを降りそそぐ。
ひかりは、やがて、平坦に引きわけた、
一般という名の岸のなかに、染まってゆき、
見えない ....
泥水のような灰色の空が、
切り立つ垂直の地平を蔽い、点から線へ変貌する驟雨は、
藍色の抽象画の顔を育てている。
列車の窓に映る凡庸な景色は、引き摺るように、
後ろ向きに、失われた過去を走ってゆ ....
千の書物に埋もれたみずたまりが閃光している。
赤ぶどう酒のかおりが溢れるほど、注がれている、
豊穣なページの眼差しは、街路樹の空虚な、
灰色の輪郭を、水色の気泡の空に浮き上がらせてゆく。
その ....
失踪する雑踏――葬られてゆく錯綜する都会の鼓動が
不整脈を晒している。
失踪する現実――訪れるものは、立ち上がらない
睦言の形骸だろうか。
黒い朝焼けを掴み取るまなざしは、
凍りつく陶酔の血 ....
凍りつく落日が、煌々と浮き上がる、
退廃の翼が燃えている丘陵地帯を
毅然としたまなざしが、顔を引き攣らせて、
走り抜けてゆく。
夜ごと、記憶の手帳に書き加え続けた
凛々しい言葉は、荒れ狂う午 ....
閃光を浴びる波打つ腕を貫く
静脈の彼方から、疲弊した虹彩がため息を吐く。
朦朧とした街は、たえず銑鉄を溶かして
都会の人々の苦悩の鋳型を作り続けている。
すべての窓には、水がなみなみと注がれて ....
白鳥が悲しい最後の鳴き声をあげて飛び立つ、
夕暮れの鮮烈ないのちの地平線が、
赤いインクで跡形も無く修正されてゆく。
絶えず流れ出ている蒸留水の蛇口に、
コップを置いて眺めても、
決して溢れ ....
粉々に砕けている銀色の空の傷口から、
降りそそぐ驟雨は、わたしの灰色の乾いたひとみを、
溢れるほど、潤してゆく。
壊れている、遅れている砂時計のなかで
わたしは、眼を浸す溢れるものが涙だという ....
絶叫する空
描かれている発光する夕暮れの子宮の瞬き。
手を振る少女は、
鮮血の銀河を潤すために海で水浴をする。
薄紅色の尾びれが、激しく水面を叩いて、
青いページは、下半身から、少しずつ、
....
どんよりとした鉛色の雨が、わたしの空洞の胸を
突き刺して、滔々と流れてゆく冷たさが、
大きなみずたまりを溢れさせている。
みずたまりには、弱々しい街灯の温もりによって、
歪んだ姿のわたしの言葉 ....
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タイトル
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カテゴリ
Point
日付
遅れてきた青年
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前田ふむ ...
自由詩
10*
06-6-3
遺灰
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前田ふむ ...
自由詩
10*
06-5-29
訃報のみずうみ
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前田ふむ ...
自由詩
9+*
06-5-22
街頭へ
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前田ふむ ...
自由詩
15*
06-5-17
おもいで——よみがえる記憶
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前田ふむ ...
自由詩
11*
06-5-11
仮面の舞踏
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前田ふむ ...
自由詩
15*
06-5-7
記憶—失われた季節の中で
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前田ふむ ...
自由詩
14*
06-5-3
いのちの荒野—不毛の夏
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前田ふむ ...
自由詩
11*
06-4-29
難破船
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前田ふむ ...
自由詩
12*
06-4-26
海—春の中で
-
前田ふむ ...
自由詩
12*
06-4-23
冷たい春
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前田ふむ ...
自由詩
18*
06-4-16
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