平日は
ぎっしりと湿った砂が詰まった頭に
素敵な大人のお面をつけて
行列の最後尾で傾きながら
特別快速の通過を待っている

休日は
いっこうに衰えない逃げ足に
穏やかな家庭人のジャ ....
産婦人科の女医の
知り合いもいなければ
メメクラゲに左腕を噛まれた
覚えもありません。
しかし、左腕が痺れてます。

左腕の痺れは
ネジの絞めすぎだと
何かの本に書いてあったので、
 ....
本当のかなしみを知るひとは
かなしみのあり様をあれこれと邪推せず
涙で濡れた手のひらにあたたかな眼差しを重ねてくれる



本当のかなしみを知るひとは
ひとの過ちをあれこれと論ったりせず ....
  むかし、近所に住んでいた
  髪のながい女の人が
  ことばはオモチャじゃありません
  そういって
  心に両手をつっこんで
  僕の言葉を持っていってしまった



 ....
 雪

       乱太郎 作

雪がひらひら舞い降りて
少女の耳元
静かにささやく
――ごめんね
  冷たいでしょう

手のひらの上で
溶けていった雪に
少女 ....
夏の蒼が秋の青へ

パステル絵の具を撒いたような
明るく ちょっとポップな


広げたフトンで
大きく深呼吸
秋の匂いはちょっと土くさい

まだ緑だか茶色だかわからない
隣の家 ....
その日の激しい夕立で
空の埃も洗われて
静まり返る夜の水面に
ゆらゆらと揺れる月

僕らはそのずっと下
仄暗い水底の上
その薄明かりの中
沈んだままで抱き合って
水の中の密室で
唇 ....
ふたりで
ずいぶん夏を歩いてきたね

波打ち際を振り返ってみると
たくさんの足跡が打ち上げられていて
見えないところまで続いている
きっと想い出になる時がきたら
一斉に海に帰ってゆくんだ ....
青信号の点滅
ギリギリで間に合わない
そんなことは
わかっていた

でも、
君と一緒なら構わない
そう思った

絶望的な結末
それでも今は構わない
君と一緒なら、たとえ
赤信号 ....
疲れ果てて
色褪せた
繁華街の朝を通り抜け

ガラガラの電車の
ドアのすぐ側の席に座り
手すりに頭を預けたまま
揺られる

 満員電車とすれ違うたび
 何かが足りないような
 そ ....
      絶望的な希望の唄を この世の果てで口ずさむ


崩れかかった廃墟に囲まれ 頭の中で鳴るメロディー
今にも消えてしまいそう

虚ろな偽の灰色の瞳は 透明さを無くしたガラス
自分 ....
灯台は
海をさがしている

それゆえずっと
船にすくいの
手をのべる



灯台は
自らの眼を
ながらく持たない

おのれを見つめるものたちの
ことばの向こうを
 ....
ひこうき雲が落ちた先の地平線の向こうではきっと
沈みかけの太陽に墜落した機体が静かに焼かれていて
壁の端のほうに逆さまに貼付けにされたヒグラシは
僕らを横目にそんな空を見下げながら一日を嘆いてい ....
夏空の青色は完璧な色をしているが
綿菓子になり損なったみたいな
散らばりかけた残念な雲が広がって

夏の始まりからその陰に隠れていた
終わりがそっと顔を覗かせている

木蔭には脱皮に失敗 ....
いつも手を伸ばすとそこにいた
ずっと続くと思っていた他愛無い日々が愛おしい

くだらないこともどうしようもなく笑えて
時に息がとまるくらいお腹抱えて転げ笑ってた

おにいちゃんのようで友達 ....
それは、あまりにも失いがたかったのですが
みずいろの中で
其の風がひとり花占いをしていたので
とても寂しく思ったのを覚えています。


花は
時にわたしのなかを駆け巡ると
 ....
さようなら、
がこぼれたときに
ついた足跡が泣いている様で

ダンボールから、のぞく
空の目は
ただ無色の息を吐いていた



寄ってらっしゃい
見てらっしゃい

時間に置い ....
雑踏のあちこちに
発生する
ポップな電子音

それぞれの手のひらの中
ぽろぽろと
カラフルな想いをつかまえる

まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけた
ねじれた言葉が小窓にな ....
鎖骨の
においが
こぼれ落ちたら、

さかなのゆめに朝がくる



ことば未満の愛を交わして、
ゆっくりとたしかめる
てあしの記憶

水の
においの
シーツを背中に
 ....
何を知りたくて
何を見つけたくて
歩き始めたのか
なんて

曖昧な言葉よりも
どうせなら いっそ
君の殻を裂いて
剥き出しの心を
素手で握りたい

連鎖は やがて
互いを知 ....
「期待」する事は 日焼けの後の痛みに似てるわ


§黄緑色の花嫁


真っ白で真っ新のウェディングドレスに包まれて

あの丘の上で笑っていたのは

黄緑色の・・・

※ ....
いっそのこと
壊れてやろうかと思ったのです

午前8時20分 正確には午前8時19分49秒
あなたは怖いものでも見るような目つきで
私を見ると言葉でない何かを叫びました
それから物凄い ....
突然放りこまれてしまった


病院の待合室にすわらされ
時計の針が無表情にすすむのを
昼メロのデジャ・ヴのようにながめる


「ママ ごめんね」
かすれた声の一言で
キミは幕開けを ....
桃の心臓をかちりと割ると
滴り落ちるのは
椿の深い唐紅花の唇
涙より沁みるのは
歯茎から抜けない
本心の建前
みずみずしく透き通るのは
海に砕けた夏の記憶
恋の夜に{ルビ馨=かお}るほ ....
私の
心の半分は
麻痺しているので
触れないでね

痛い、とか
冷たい、だとか
そちらの側では
感じられない

ただ
ぴりぴりとしびれるような
ここでない
どこかの空の

 ....
ひとひら
  ふたひら


黒い水辺の
むこう岸


藍色の闇に
ふわりと浮かぶ


燈籠のような
花明かり


ひとひら
  ふたひら


うろこのような
 ....
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070919/135317/

http://business.nikkeibp.co.jp/fb/ ....
桔梗の匂いです
ほんのりぼかした地平線は
花のうねりが続いています
その上をすべる
乳白色 あおい月
輪郭はまだうすい


   夜はさらさら
   風はさやさや


月は花の ....
あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった


あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨 ....
働くってことは
否応無く押し付けられた役柄を演じること

食品会社に勤めれば
賞味期限の記されたシールを貼りかえる日々
罪の意識など三日で消えてしまう

コールセンターに勤めれば
クレ ....
ノクターンさんのおすすめリスト(154)
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