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 柔らかに
 湖沼の堤に
 すいこまれていく
 霧雨は

 昼と夜の
 境に降りつつ
 水沫も作らず消えて行く時、

 涙もなく
 恋見送りし むくい
 心は 空なるものに ....
 吹き過ぎる
 北風 に歓声ヒビキ
 鳶一羽、ゆうゆう見下ろす
 小さな翼 
 破れそうなゲイラカイト

 
 「いつもの、ね。」

 酒房の隅、おかみさんに笑み投げて

 厚切りレモン小皿に二切れ

 麦焼酎の氷 香って

 ほろ酔い誘う貴方の面影
 濡れ伏して
 夕闇の 湖面に一艘
 舟影とおく
 浮夜で だれぞ、
 釣り糸垂れん
 
 
 
 凍窓に 
 陽、昇りし今朝の
 比良を見ゆれば
 お引摺りの花嫁御寮
 おもわせる
 
 山に向かい
 白く田の拡ごる道で
 霜に打たれる 踏まれ草
 われ知らずして
 星降る原野、夢みる花壇の球根とは
 同じ心のゆらぎは あるのか
 
 
 冷雨止み 仕事始めの午後の空
 休憩室の窓から見つけた
 みずいろ に、
 同僚と分け合い食べる紫芋の蒸籠蒸し
 素朴な甘味も清々しい
 
 からし酢味噌のお浸しに
 しようと買った
 菜花の 蕾、
 キッチンの隅
 春灯る
 眠りから
 さめて 窓越し
 はつ雀、
 妙に可憐で
 枕ゆるゆる耳傾ける
 
 
 
 木下闇
 人の通わぬ奥深く
 その道 樹々の嘆くとも
 君、
 振り返ること無くて

 遺影の彼は
 今も 三十二歳

 その朝、枕辺のオーディオステレオが
 静かに鳴っていたら ....
 大根 里芋 金時人参 南瓜 蓮根
 厚揚げを 塩加減に悩みながら
 白く煮て
 干し椎茸 牛蒡 蒟蒻
 は しょうゆ味で黒く煮る

 重箱のおせち料理は作らないけれど
 昔 家族で過ご ....
 テイクアウトのピザを
 たらふく食べ
 飲みすぎた赤ワイン

 炬燵で寝落ちし
 ふと目覚める 耳の底の音だけしかない
 深夜

 空ビン洗って
 ベランダの収納ボックスへ入れる音 ....
 雑然とした卓に
 ちょっと戯れに挿した
 寒椿の 紅い沈まり

 眠れないのです

 時は重たいものですね
 全て寝静まっているのに
 音があるのです

 秒針が刻む
 藍 ....
  「紛いもの」

 凪の夜

 寒空が黒いインク
 
 こぼした水面、すべりゆく

 遊覧船は

 まるで冥界の古城



  「中古マンション」

 三階で 物干し ....
 酒房に足をふみ入れたとたん
 行方の知れなかった心が
 戻って来た

  日頃 胸の底に巣喰う黒いものが
  熱っぽく溶けて肉にしみ入ってくる

  私に降る 師走の雨

   ....
 
 寒風、

 常緑樹の生垣が吐く

 銀白と やがて溶け

 やさしげに揺れる

 山茶花

 

 
 乾いた大気
 
 緋色砕けて心臓響く

 天上は真夏

 大柳

 烟り散る冬の湖面
 小さな寺の鐘の音が
 震うともなく 
 ゆれて

 声を出せば
 全て偽りになるに違いない
 はかなさが
 西山の山脈に暮れていくのを見ながら
 一人歩いていると

 酒場の騒音 ....
   
   「心」

 生命の底にあるのが
 わたし
 野を吹く風にさからって
 歩いていると
 影絵のようにみえてくる
 



   「大衆食堂」

 店の母さん 常 ....
  「独白」


 霜の立つ
 音のきこえそうな 
 夜に一人で居る時は
 吐息など捨てようと
 幾度 思った事か


  「街の鴨」


 商業施設の脇を流れる
 堂の川 ....
 いつになく長風呂し

 秋刀魚の蒲焼

 突っつく晩めし

 身の冷えぬ間に寝間へ入ろう

 熱燗一杯キュッと飲み干す一人者
 夜も深き高層の谷間

 鈍く 唸りあげて吹くものは

 誰が為に在るのか、

 目覚めると不意に

 もの哀しさ 我包む冬
 
 薄ら陽を

 追いつつ鉢を離れ得ず

 小さき金魚の褪せし思いして

 胸の底 暗く重く

 ちろちろ火の燃え続ける
 窓を 開けると

 取り残された柿の実が赤かった

 よく解った 空の高さ
 
 窓を閉めた私は

 夕飯のお味噌汁の大根きざむ
 お前と私の くされ縁
 ペンとノートで膝つき合わせて
 何の進歩がなくたって
 へっちゃら

 お前の いじの悪さを思う
 私の頑固さを お前は笑い
 諦めてしまえば
 お空 ....
 ストリートサックスに聴き惚れて

 いつになく

 今夜は涙もろくなっちゃった

 帰ったら よっぱらって

 ねむっちゃおう
 ほのぼのと

 開きそめし季節のすぎて

 髪洗えば抜け落ちる束 悲しきを

 湯舟浸かり両の手に 抱く乳房

 秋の晩
 
 駅裏の
 小道ふうわり陽を恋いて
 行き違う その人と二度逢いし 
 が
 眉涼しきを忘れかねつる


   ※


 ホーム居て
 陽の暖かさに生ぬるく
 心ゆられて ....
  「私春記」



 「あたしの洗濯カゴ触らないで。
  あたしのボディーソープ使わないでよ。」
 
 俺は、いったい何なんや!
 憤る 兄をなだめる母ありて
 娘の真顔に含み ....
 桐の葉に 雨が降れば

 涙なく 声なく 
 唯一人
 流るる窓の滴に心あてなく さまよい出でる

 あなたが何処に居ようと
 わたしが何処に居ようと
 生命だけしか上げるものが ....
こしごえさんのリリーさんおすすめリスト(103)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨氷- リリー自由詩6*24-1-13
五行歌_一首「公園にて」- リリー自由詩4*24-1-12
五行歌_一首「檸檬」- リリー自由詩4*24-1-11
五行歌_一首「釣り人」- リリー自由詩5*24-1-10
五行歌_一首「雪化粧」- リリー自由詩5*24-1-9
冬草- リリー自由詩5*24-1-8
五行歌_一首「おやつ」- リリー自由詩4*24-1-6
五行歌_一首「小さな黄色」- リリー自由詩5*24-1-4
五行歌_一首「初雀」- リリー自由詩3*24-1-3
同級生- リリー自由詩7*24-1-2
大みそか- リリー自由詩6*23-12-31
深酒- リリー自由詩13*23-12-27
アンニュイ- リリー自由詩10*23-12-19
五行歌_二首- リリー自由詩4+*23-12-16
デーモン- リリー自由詩4*23-12-15
五行歌_一首「雪もよい」- リリー自由詩4*23-12-1
五行歌_一首「花火」- リリー自由詩3*23-11-27
野分- リリー自由詩3*23-11-24
五行歌_二首- リリー自由詩7*23-11-24
五行歌_二首- リリー自由詩7*23-11-21
五行歌_一首「寒雨」- リリー自由詩2*23-11-19
五行歌_一首「北風」- リリー自由詩2+*23-11-12
五行歌_一首「未練」- リリー自由詩6*23-11-8
五行歌_一首「柿」- リリー自由詩3*23-11-7
詩に云う- リリー自由詩4*23-11-5
五行歌_一首「光芒」- リリー自由詩2*23-11-5
五行歌_一首「バスルーム」- リリー自由詩4+*23-11-4
五行歌_二首「小春日」- リリー自由詩2*23-11-3
五行歌_二首- リリー自由詩6*23-11-1
窓辺- リリー自由詩5*23-10-29

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