種もつ闇の
ちらかる 真昼
夜から じっと
はりめぐらせた
たんたん ひとつぶ あまい 夢
たんとん ひとなみ ふるい 風
かすれた なきごえ
かみきる したあご
....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
空はどこまでも鈍い雲に覆われていて
海まで続く暗く長い道を
目隠しされた罪人どもが牽かれてゆく
贖うことなど決して叶わない
あまりにも重い罪を懐に抱いて
だが その足取りは重くはない ....
さじ の中
盛られた 私の
腕に とどかない
ひくい
止めた 前髪
痛くて はずす
ヘアピン
月明かり まばらな カーテン
さえぎる
みたくないと
あわれむ ....
降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと
実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜
秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて
失った記憶と ....
命令に従うまま
とじた視線の先に蠢く
はかない炎の中に
何れとも知れぬ炎が また消ゆる
でいごが僅かに開く
すずやかな風は何処へ行く
かぎりない空へと
?
はじめて詩を読んだ時
若くて とてもかわいいと思った
しかし しだいに冴え
凍るような苦痛 けど
美しさをまして
貴女は 詩を うとんじていた
悲痛な思いを記す事を 嫌悪し ....
{引用=花火が上がると 君が泣く
瞬間
いつか会えなかった誰かを
そこに見て
いつの日のでもない君は
ここにいて
手は繋いではいけない
誰もいない夏祭り
君が泣くから
....
なじまずに 赤は 錆びる
焼けて 触れられぬ やすらぎ
いいわけのような 暖かい 風
うつけた雲 てん てん てんつき
投げだされても 守る 思い詰めた大地に
立つ事だけが ....
乱反射している飛沫に映るきみ刹那に過ぎ行く夏のはじまり
六月を雨の季節とたとえれば花嫁たちのヴェールは時雨
水の中の八月だから転校すきみの街までクロールでゆく
ひたいから ....
風は 悠久の時を風化しました
草は 朽ちた誰かの命で成長しました
空は 嘘もない真実の青で{ルビ嘲笑=わら}いました
耳を澄ませば 声が降ってくる
....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃
診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った
遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
追い越してしまえばすべて思い出となりゆく柱の背比べの跡
お花見に行ったせいだと返される昨夜のゆめの桜色のわけ
例えようとしても例えることできぬ僕らひとつの真実として
遠く ....
満開のころに降る雨いつもいつも恋に似たものすべてはかない
なんとなく聞こえる卵の殻が今割れた気がする恋人前夜
自転車であなたの街に着く前に五月の風に抱かれるわたし
たくさ ....
届けば 遠ざかる
のばせば ねむり
もう 見えなくなるのだろうに
悲しむ 半分の鎧を きたまま
まきすぎた 噴水の 熱さだけ
ひいた拳には さすられた 痕
満ちていく ....
生きている不思議な夢を君は見た?そろそろ君は目覚めるかもね
野山駆け野山駆けられ僕たちは遂に野山に野山られてる
回転扉を閉めれば良いのですあからさまな反射など屈折してしまう
....
{引用=
それは例えば
閉園前の遊園地
閑古鳥の鳴くデパートメント
誰も通らない非常階段
埃の積もった工具箱
空気の止まった閉架図書室
星光をただ通し続ける真空空間
そこにはや ....
声色を変えてもわかるきみのこと遺伝子レベルで記憶してるから
色々と迷いましたよだけどこれこれにしますよこれはシャケ弁
開花してしまった空をもう一度つぼみに戻す さらば空想
....
春分の朝のひかりが桃色に染め上げてゆく雲を見ている
結んだ髪に椿を挿して出掛けましょじんこうてきなダムを見ましょう
最短で森の迷路を抜ける道あなたが選ぶ毒の木いちご
ばた ....
芝生に裸足
丸い春の空
秋の残馨 揺れている
この窓を共に見れなくとも
声は聞こえる 聞こえるよ
歩けないなら抱いて行く
水辺に雀
鉄柵の水平
僻地を歩く親子猫
....
形状を記憶しているつもりなら今すぐ夢の断片ひろえ
轟音の低音ベースが鳴る部屋で無音のきみがほほえんでいる
失った真夜中ひとり花園で紋白蝶を両手で潰す
密葬す巨大な木々に囲 ....
眠たくて思考回路がぐにゃぐにゃとマーヴル模様に溶けてゆく午後
コウモリが戯れている春の宵ゴーストたちと花見してます
黒い文字無数に踊るタンバリン片手に踊れ闇の俳人
携帯の ....
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