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枇杷の実、たわわ、たわわ、と
ふくれた腹をかかえて転がりそうな
夕陽に照らされ景色をゆすって風を
くすぐり、たわわ、たわわ、と
悲しげな
その実に
歯を立て
しごきとる、なぜにこ ....
手を
引かれて見知った町を歩く
老いた漁師の赤らんだ手が
まぁ、まぁ、呑んでいきな、と手まねく
あすこの地蔵、おどしの地蔵さん、脅しな
明治の頃、沢山の人がコレラで死んだ
焼き場はい ....
もう
陽がくれる
とつとつと
西へ西へと歩んでいくと
孤影は東へ歩み去り
すれちがうのは
ひとつ、ふたつの足音と
みっつ、よっつの息づかい
いつつ、むっつのさみしさよ
....