あの日
僕はふらっと出かけたそうだ

何処にも行けない身体で
何処に行けるはずもないのに
何処かへ出かけてしまったそうだ

(言葉を忘れるということは
 そんな遠い旅に出ることに似てい ....
夜になると
魚は目を閉じて
消えていく泡の行く末を思う
消えていく
自らの姿に思いを馳せ
静かに
目を閉じている

夜になると
魚は目を閉じて
自らの見ることのなかった風景を見 ....
あなたの白いスカートが
ひととき夏色に見えたのは
うすぐもりの雲の切れ間から
気まぐれに顔を出した
あの眩しい日差しのせいではなく
あれはそう
道をさえぎるようにもたれかかる紫陽花に
語 ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
梅雨入り前の風は
しっとりと
雨の色を含んで
部屋に吹きいる
私はひとり
読みかけの本をそっと置き
その匂いをかぐ
君と辿ったいくつもの夜
ふたり描いた夢のかけら
せつなく胸を締めつ ....
真夜中のとばりに一人きり
風の音に目を覚ます
横に眠っているはずの君は
ここにはもういなかった

君は私の右腕に頭を預け
その髪の匂いに微睡んだ夏
あれからいくつもの季節が過ぎたけど
 ....
 水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏



 砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜



 8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
悲しい夢を見たあとに
声を上げて泣いてしまったのは
その夢が悲しかったからではなく
その夢が現実にほど近い
記憶だったからかもしれません

昔のことですから
もう数えきれないくらい繰り返 ....
(ぽとり)

点滴1本3時間

(ぽとり)

ペンとノートがあったら詩の一つでも書けそう
だけど悲しい詩になりそうだから書かない

(ぽとり)

透明なビニール容器から
半透明 ....
その日 二人の間にあったのは
「愛」ではなく
「コーヒー」だった
しかしすでに冷めきっているという点では同じだ

彼が口付けたのは
「私」ではなく
「コーヒーカップ」だった
どんな味か ....
あたりまえの、キスを、ください


追いかけるたびに 
春はもう
ふりむきざまの、目くばせ
早足にからまるイヌフグリの、青
追いつかないのは
季節のせいなんかじゃ、ない、と


 ....
毎日たくさんのものが
あなたから生まれることを知っている
それは言葉であったり、声であったり、感情であったりする、けれど
それらはあなたの分身でしかないことも知っている
そのことをあ ....
なんだか嬉しくて
嬉しい詩を思い浮かべました
なんだか悲しくて
悲しい詩を思い浮かべました

書いていると
まったく違う感情なのに
まったく同じ色の涙が流れてきて
それは嬉しさ ....
逢いたいと願えば
それも罪ですか

気がつけばいつも
いるはずのない
あなたを捜しています

現実を思い知るたび
ざっくりと割れた
心の谷間から
深紅の血が溢れます

あなたの ....
仕事から帰ると
ぼくの部屋からは、なにもかもなくなっていた

電話台の上に電話はなく
テレビ台の上にテレビはなく
洗濯機と冷蔵庫は
黒っぽい埃の四角形だけ残し
スチールのベッドだけはなぜ ....
指先の回想は 罪深い引力で 灰皿に落ちる 水色吐息の癖
傷心なら午睡 幸福なら沐浴 存在さえ咀嚼 虚無すら消化
禁欲を徹底し 放蕩を覚えよ 賢者か砂塵か あるいは詩病
嬌声の縮図は 冒涜を孕んで ....
{引用=晩夏におとずれた出会いを、わたしはいとおしくてたまらなかった。}


最初のデートでどこへ行ったかも忘れてしまうくらい、あなたのことだけを見ていたので、わたしたちにはアルバムをつくる時間 ....
いろんな気持ちを煮込んでいたら
すっかり煮詰まってしまった
僕はふつふつと夜にとけてしまいそうになる

お腹もすかない
最後に口に入れたものは何だったか
そんなことを思い出す気力もない
 ....
あの人の
大きな手の
やさしいぬくもり
誰かわたしに
届けてください

それは
心の風邪の特効薬
草木が色を変える速さで
過ぎ去ろうとする四月

桜前線はまだ北上を続けているのだろうか

何かを引きずるようにして後ろ手をのばせば
はっきりと感じられる
温度がある
それは
得たもの ....
痩せた身体でうつむけば三日月

足元を眺めれば
いくつもの自分の欠片が光を失いかけている
日々削られてゆくいろいろが
音もたてずに
まるで始めから無かったことのように

やりかけたパズ ....
透明な風になって
あなたの{ルビ傍=そば}へ行きたい

寂しいときには
やさしく頬を撫で
苦しいときには
そっと背中を押して

誰にも気付かれずに
ずっとあなたを包んでいたい
特別な色のない 夜が
   麗らかに 舞っている
    二つの 肺は
   非対称を 否定するように
    静かに 揺らぐ
これは流線形の パラドックス
  恥じらいは 甘い息
 幾 ....
裸になって{ルビ躯=からだ}と{ルビ躯=からだ}を結んだところで
それで一体何が分かり合えるのですか
なぁんて真剣な顔で言ってみても
{ルビ躯=からだ}はやる気満々じゃないですか
はいはい
 ....
            雨
           泳ぐ鳥
          結晶化して
         飼い慣らす肉塊
        風待ちの長い眠りが
       ゆらゆらと輪 ....
四月とはいっても
まだ肌寒い明け方の空気の中
酔っ払ってるふりしてビニール傘振り回しながら
お初天神あたりを踊るような足取りで

そうやって
無理やり気持ちに火を点けて
疲れてるのとか
 ....
いつの間にか春だった

去年の夏に出した
扇風機は秋を過ぎ冬の間も
僕の部屋にあって
まるで使い道もない無駄な存在として
小さく佇んでいた

僕は
冬の寒さに凍えながら
扇風機を回 ....

右に
傾いて
安定せず
よろめいて
箱庭の片隅で
一筋の濁った夢
あるいは妖艶な爪
感じ合う二人の側で
幽霊が笑っているんだ
仕舞い忘れた毛布の中に
時期外れの扇風機の羽さえ ....
降り立つ場所を求めるように
あなたは漂っている

薄い羽は
強く吹かれれば千切れそうなほどで
少しの風でも
自分の思うようには進めないふうで
でも
そんな目には見えないような空気から
 ....
東京少年
それは空を見上げます。
星が見られない新宿の夜空
私たちは、記憶設定のタバコを蒸して、
上がって、いつもどんなすべての通りもして、パレードする予定でした。

東京少年
それ ....
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