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始発駅が真っ直ぐになっている
僕らはここから始まって
ここで終わる
発車のベルがいつまでも鳴らないので
自分で押しに行くと、扉は閉まって
置き去りになる
少し笑いで僕は歩き出す
....
向かい風の吹いている
地図の上です
収縮と膨張を繰り返す波打ち際の
緩やかなカーブをなぞること
波音は届かずに
待ち焦がれるばかりの
海岸線が近い
そうで
少しずつ僕らに迫 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
いつか来た道を
なぞる度に消えてしまう
机の上のあの地図は
濡れたままでいる
一番と名前のついている街には
今もあなたが
住んでいることになっている
い、ろ、は、で振り分けら ....
夕暮れの後の雨はどこも優しい
平静な音が響いて
空間が深まっていく、窓の外
思い返すほどに
心落ち着いていく
世界は円になっている
そんな
額面通りにはいかないらしい
言葉が繰 ....
船の停泊しない
図書室には
匂いがない
ブラインドの隙間から
斜陽
カウンターに落ちた
向こうで
司書が背中の羽を
二度動かす
白い付箋のはられた
いくつかの椅子は ....
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している
その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....
捨て金魚をした
近所に川がなかったので
人の多い駅前に捨ててみた
金魚だってわかってもらうために
「大学と手毬です 可愛がってください」とでっかく書いた
気になって一日に何回も駅 ....