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もし月が地球に落ちてきたら

全世界の人々は両手を天に掲げて

月を支えようとするだろうか
 
  
トムソンはがぜる
がぜり続ける
健やかに育ち
育ち続ける梢と梢の
間からメニューを覗き
何という名のファミリーレストランか
ハンバーグを和風セットで注文する
まるで都会だねここは
 ....
海に行く
護岸の上でいつものように
体操をしているおじさんと挨拶する
釣り糸を垂れる
魚が一匹釣れる
魚を一匹殺す
やがて日が暮れたので帰宅する
途中おじさんはもういない
今日 ....
見上げている空にも
今ごろ風が吹いているのでしょうか
雲がゆっくりと
あるいは形を変えて

あのやがては消えていくものたちのように
わたしももっと強くなりたい
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
君は脱ぐ
同時に着る
どんなに脱いでも
君は君の核心から遠ざかっていく
まばゆい光の中
生まれたての姿になり
男たちの暗い瞳でできたプールを泳ぐ
淵に腰掛けていた男たちは
 ....
腕から生える腕
腕から生え他の腕に潜る腕
すべて腕
てのひらの無い腕
てのひらだらけの腕
今日の天気は腕ときどき腕
ところによりにわか腕
という天気図を指し示す腕
腕そば一丁、腕大 ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
男のズボンの右ポケットは
いつの間にか上着の胸ポケットに繋がっていた
えいっ、と腕を突っ込めば
指先が胸ポケットからにょきりと出る
それが生きていくうえで何の役に立つというのか
試し ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
男はふと時計を見た
まじまじと時計を見たことはなかったが
見れば見るほど
時計は自分に似ていた
あたりまえだ
男は時計なのだから
一方、時計はといえば
すでに着替えを終え
これから ....
夏休み
街から人はいなくなった
窓という窓
木陰という木陰
ベンチというベンチ
そのいたるところから
少しの匂いと
体温を残して

静寂、というには
まだわずかばかりの音 ....
さよならの「さ」は
さよならの「さ」

さよならの「よ」は
さよならの「よ」

さよならの「な」は
さよならの「な」

さよならの「ら」は
らっぱの「ら」

突撃らっぱ ....
夜が街を歩いている
きらきら きらきら
瞬く星や月を身にまとって
夜が昼間の街を歩いている
きらきら きらきら
なんとゴージャスな
きっと昼食もゴージャスに違いない
誰もが夜に注目してい ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった

少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
金魚もいないのに
君は金魚鉢を買ってきて
それから金魚の餌と
水道水の塩素を中和する
透き通った小さな薬品も
買ってきて

それでも結局金魚鉢の中を
金魚が泳ぐことはなかったのは
 ....
酔っぱらった僕は
フライパンの真似をして
空に羽ばたいた
一番高いところで
激しく嘔吐したけど
よく見ると
それは言葉だったので
ますます気持ち悪くなった
また一つ
約束を破った

夕涼む縁側

うちわ

ねつ

におい

笑うしかないと
娘は知っている
錦糸町駅で停車した総武線快速に
一匹のナナホシテントウが迷い込んだ
光に向かって飛ぼうとするが
むなしく窓ガラスにぶつかるだけだ
外に出してあげようにも
列車は地下に入ってしまって
 ....
校長は絶好調!俺は田舎侍、
辻斬りするの、ザウルス
すべからく太もも弾け、
今日は良き日であるの、ザウルス
あっぱれ、俺は因数を分解する、
分解し続ける、ズシン
が、因数は俺を ....
おおきい かあさん おおきいな

ちいさい とうさん ちいさいな

ひるね ひるね らいおん ひるね

おしろのてっぺん こうじちゅう


+


さとうと えんぴつ けんかし ....
バス 食いてえ
ツートン・カラーとか たっぷりの水分を含んだ 薄皮に包まれて
タイヤは曲がったゴムの匂い うは やっぱり
バス 食いてえ 
運転手が禁忌する交差点の手旗信号
それ ....
遥か西の国から旅を続けているマジシャンは
旅の途中で
マジックに使う鳩たちに逃げられてしまいました

それならば鳩を使わなければ良いのでしょうが
そのマジックは彼の最大の見せ場であり
 ....
「うみ」
と書けば
白い波が寄せて返し

「そら」
と書けば
どこもでも青く

「もり」
と書けば
木々が香り

「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり

「ま ....
街中を
ウィリアム・テルが走り回っていた
何故ウィリアム・テルと分かったか、というと
それはどう見てもウィリアム・テルだったから

駅前の市営駐輪場に
真っ赤なリンゴがポッツリとあった ....
プテラノドンさんのたもつさんおすすめリスト(86)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
もし- たもつ未詩・独白1105-8-12
トムソンはがぜる- たもつ自由詩1005-8-9
海に行く- たもつ自由詩1405-8-4
童話(雲)- たもつ自由詩1005-8-1
童話(指)- たもつ自由詩3805-7-27
子供- たもつ自由詩38*05-7-23
ストリッパー- たもつ自由詩2305-7-21
すべて腕- たもつ自由詩1905-7-14
七人の男(手を振る男)- たもつ自由詩41*05-7-12
七人の男(ハトを捕まえる男)- たもつ自由詩1205-7-9
七人の男(傘を育てる男)- たもつ自由詩4705-7-7
七人の男(時計を見る男)- たもつ自由詩1405-7-6
夏休み- たもつ自由詩1805-6-29
さよなら- たもつ自由詩1405-6-17
- たもつ自由詩605-6-8
すべてのあとで- たもつ自由詩4705-6-2
金魚鉢- たもつ自由詩1205-6-1
嘔吐- たもつ自由詩905-5-26
ほたる- たもつ自由詩1405-5-10
エッセイ- たもつ自由詩405-4-30
ザウルス- たもつ自由詩605-4-13
ファザー・グース- たもつ自由詩15+*04-12-20
バス食いてえ- たもつ自由詩1404-11-7
別れの挨拶- たもつ散文(批評 ...904-5-14
「___」に言葉を入れてみろ- たもつ自由詩3203-9-17
さよなら- たもつ自由詩203-8-26

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