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「せんせいのては やさしいかたちしてるね」

いきなり言われたので
僕は自分の手をじっと見た
どうみても普通の手だ

「どういうところがやさしいの?」

血管がういて筋張っているし ....
ガラン ゴロン
缶入りドロップをふると
そんな音がする


家を飛び出したはずの僕が
すっかりぼろぼろの身体になって
そんなふうにまた転がり込んできたとき
せっかく作ってくれた料理を
 ....
子供のころは簡単だった
青いクレヨンで雲のかたちをくりぬけば
それが空だと言えたけど


いま僕が描こうとしてる
この空には青が足りない


たくさんのことを知ると
たくさんのこと ....
季節はずれの花粉のせいなのだと
説明する僕のことを

受話器のむこうで
君がくすくすと笑っている

きのう雨の中でけんかして
雨なのか涙なのかわからなく濡れたふたりが
いまはこうして傘 ....
少し湿った空気のせいにして
ずっと見つめていられない

まばたきするのと同じ一瞬で
咲いては散る火の花は
たくさんの星を集めたように
火薬の匂いをひいて流れてゆく

ほら
星が夜空に ....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。

その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
つくんと

ときおり胸で感じる痛みを
悲しみのせいだとは
思いたくないから、僕らは
うたおうとする

好きな歌を

思い出せないフレーズで
立ち止まってはいけないと
覚えてるとこ ....
ある日
自動ドアの前に立ったら

開かなかった

押しても引いても
やっぱり開かなかったので

慌てて君を呼んだ

ちっとも開いてくれないんだよと言いながら
二人並んで立ってみた ....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに

鶴を折っていました

それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき

その子 ....
みずいろの風に吹かれて

すこしだけ早まった鼓動が
うなずくように合図をしたら
それが夏のはじまりでした

手のひらでつくった影に
割り込むように差し込んでくる
陽の眩しさを避けて木陰 ....
こんなに浅い眠りでは
うまく泳ぐこともできない

私はきっと
魚になりたいと

こうやってもがいているのに

軽々とふとんをはねのけても
夜の重さには耐えられない

私はきっと
 ....
街が夕焼けに染まるころ

通勤快速を降りれば足早になる
車内の熱気にゆであがってしまった
君はきっと
夕方の空気が好きに違いない

商店街を駆け抜ける自転車に
危うくひかれそうになって ....
父と別々の家に住むようになってから
ときどきは会いに行こうと決めていた

小さい頃から
一緒に暮らした記憶などなくて
なのに父は
僕との思い出話を聞かせようとする

うんうんと
僕が ....
ぽつりぽつりと
街に明かりが灯りはじめる頃
点々とするビルの窓を見上げて
君が

まるでほたるが飛んでいるみたいね
なんて呟いたから

僕もいっしょになって見上げた
ほたるなんて ....
探さないでください

そんな手紙を残して
君がいなくなってしまったから

僕はちまなこになって探したんだ

押入れ、風呂場、トイレ
良く行くレストラン、レンタルビデオ屋

何処にも ....
あなたの白いスカートが
ひととき夏色に見えたのは
うすぐもりの雲の切れ間から
気まぐれに顔を出した
あの眩しい日差しのせいではなく
あれはそう
道をさえぎるようにもたれかかる紫陽花に
語 ....
(ぽとり)

点滴1本3時間

(ぽとり)

ペンとノートがあったら詩の一つでも書けそう
だけど悲しい詩になりそうだから書かない

(ぽとり)

透明なビニール容器から
半透明 ....
{引用=桜の頃を過ぎて
ふとした淋しさがこみあげてくる
そんな五月の夕べ
ずいぶんと久しい人へ
したためた手紙を読み返している


 前略

 いかがお過ごしでしょうか
 花見の頃 ....
ずいぶんと皮肉なものですね

愚痴をこぼしたくなるとき
その愚痴を受け止めてくれるのは
愚痴なんか聞かせたくない人だったりする

遠まわしな言葉が
あなたの
うんうんという相槌とともに ....
遠い、遠い、記憶の中
不安で、不安で、しかたなかった

つないでいた手を
ほどかれたとき
まるで自分の一部を失ったかのように
泣きじゃくった
子供の頃



デパートのおもちゃ売 ....
草木が色を変える速さで
過ぎ去ろうとする四月

桜前線はまだ北上を続けているのだろうか

何かを引きずるようにして後ろ手をのばせば
はっきりと感じられる
温度がある
それは
得たもの ....
その確率で失うものがあるのなら
その確率で得られるものも
きっとある

味わった悲しみは
次の喜びを増すためにあると
誰かが言っていました
先日花見にでかけたのですが
今年の桜は遅く満 ....
肩にまわした枝先から
次々に花が咲くように思えたのは
良く晴れた陽のまぶしさでなく
あれはそう
池のほとりから身を投げ出して
舞う花びらをつかまえようとした
少し危うげな
それでいて柔ら ....
始まりの声に耳をすませば
それは静かでも力強いことに気づく

あなたは
不確かな未来を希望にからめて
堅く結んだ約束を口ずさむ
こぼれたいくつかは落下して砕け散っても
受け止めたいく ....
仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける

ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
きれいな空があることを
忘れたくなかった

雨が降るのを
空が落ちてくると言った 僕は
落ちてくる空を見たことはない

びしょ濡れになってもいい
見上げた空がきれいであるこ ....
父さんの手帳を見たら
僕のことが書いてあった

最初のページには、可愛い息子だと
少しめくると、やんちゃな息子だと
ぱらぱらめっくってみる

良くできた息子
にくたらしい息子
困った ....
たちばなまことさんのベンジャミンさんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「やさしいかたち」- ベンジャ ...自由詩27*08-4-5
缶入りドロップ- ベンジャ ...自由詩8*05-10-1
この空には青が足りない- ベンジャ ...自由詩17*05-9-24
僕はくしゃみをする- ベンジャ ...自由詩12*05-9-21
花火の花びら- ベンジャ ...自由詩11*05-7-26
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。- ベンジャ ...自由詩23*05-7-16
そうやってうたえばいい- ベンジャ ...自由詩17*05-7-14
自動ドアのこと- ベンジャ ...自由詩9*05-7-6
千羽鶴- ベンジャ ...自由詩68*05-7-3
夏のはじまりはいつも- ベンジャ ...自由詩9*05-7-2
溺れそうな夜に- ベンジャ ...自由詩6*05-7-1
そのスピードで- ベンジャ ...自由詩7*05-6-28
会話- ベンジャ ...自由詩10*05-6-27
ほたる- ベンジャ ...自由詩6*05-6-20
グラタンをあたためながら- ベンジャ ...自由詩13*05-6-15
紫陽花が咲く頃に- ベンジャ ...自由詩10*05-6-11
やっぱり悲しい詩になってしまう- ベンジャ ...未詩・独白15*05-5-24
花便り- ベンジャ ...自由詩5*05-5-10
愚痴- ベンジャ ...自由詩4*05-5-9
その手をはなさない- ベンジャ ...自由詩10*05-5-2
春のアンカー- ベンジャ ...未詩・独白3*05-4-30
その確率で- ベンジャ ...自由詩14*05-4-7
桜の木の下で- ベンジャ ...自由詩905-4-5
四月になればあなたは- ベンジャ ...自由詩22*05-3-28
仄暗い公園で- ベンジャ ...自由詩33*05-2-12
空と大地の間で交信する- ベンジャ ...未詩・独白7*05-1-30
父さんの手帳- ベンジャ ...自由詩4*04-12-20

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