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リリリリンと鳴く鈴虫の
涼やかな音に魅せられて
そっと瞼を閉じて暗闇のなかで味わう
掠れながらも必死に相手を呼ぶ
その切羽詰まった思いが
リズムとなって生を刻んでゆく
誰かに何かを伝え ....
「あした 先生はお休みします」
そういって以来さわぐち先生は
学校に来ない
もう二度と会えないんだという
くだらないうわさがガヤガヤと
一組と三組と四組には広まっている
....
ボーナス制度とは搾取ではないか。
封建制度の名残である。
賞与は褒美として渡される。
縛りつけるつもりなのだ。
(ボーナス入るまで、やめないでねって。)
給与だけなら12回の手 ....
そういえばあなたは 春がキライでしたね
春は余計に淋しくなってしまうからと
いつかぼそっとつぶやいてたのを
ぼんやり覚えています
今でもやっぱり 春は淋しいままですか
気 ....
香を焚き
花を散らし
夜は更けてゆく
想いは深く星空に消え
来し方を想いだす
きみと暮らした18年
時には重く
時には軽やかに過ごして来た
互いに栄華の時は過ぎ
これからは別 ....
陽気に囲まれて
気持ちが持ち上がっていると
釘のように刺す影
不安の裏地で
肌がかぶれる
絶望ばかりしていた
私にさようならしたのに
転落しそう
眩暈に揺れて
踏みとどまる
....
おとなうもの
波打つ光の流れに
私のいっとき入り込み
ヌメる肉の黄金、
宿る生命の身悶え、
光滴の飛沫ひびき立ち
時の一刻み伸びひろがる
意味の喪失された場所で、
私のとっ ....
実家の垣根は汚れていた。
その汚れに入ってきて欲しくて寄り添っていた
あちこちで接木でもしているのか
いろいろな低木が混ざった垣根で
花も二、三種類咲く
そういうのは滅多にない
いっ ....
愛ってなんだろうなんて
だれもが顔をそむける問いは
むろん、忘れるべきだな
世の中に美しいものがあるならそれは
ぜったいの愛ではなく
煌めきの
恋
だから
光が踊って ....
春の夜はね、
「公達に狐化けたり宵の春」って句を思い出すけど、
思い出すだけ、
ここに狐はいない、
いても狸なんだよね、
それにきっと公達に化けるような、
そんな気の利いたモノノケはこな ....
東の果ての国は敗れて
荒れ果てた荒野に
子供たちの歌が響いた
籠目、籠目
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
剣の山の麓が崩れて
契約の箱が表れると
そこから
金の光の柱が屹立する
....
風さらさ
光ゆらめく四分音符
なぜ耳を刺す悲報に泣けない?
おいでよ
ずっと輝く世界に
瞳をキラキラ光らせて
初めてこの街に来たあのころみたいに
お ....
幼いころ
あした学校が爆発しないかなと思いながら
すべてやり過ごそうとして
石のふりをしていた
すこしのぬくもりもない
割れたばかり
そんな印象の石だ
大人になって
壊れた学校を目 ....
詩人たちは皆何がなんでも
会を存続させる意思に溢れていた
総会は紛糾して最後まで意見は纏まらない
そんな母の思惑は外れ
詩人としての居場所を守りたい
そんな活気に溢れていた
詩で集い ....
冷たい指先で触れた過去
黒いインクが滲むように
記憶からじわり漏れ出す
あの日ぼくが殺した夢が
まだ静かに息をしている
硝子越しに見る自分の影
歪んだ顔が口角を上げて
逃さないと脳内 ....
絶望を嫌がってました
実は気持ちよかったね
でさ
苛立ちを嫌がってました
でさ
実は気持ち良かったね
闇を嫌がってました
でさ
実は気持ち良かったね
....
「おまえは、あまり、人の役に
立てなかったから
他の役目を探しなさい」 って
最後ばかり優しい物言いだった
わたしはまだ尾が残っていて
不完全だった
ぐずを泳がしておく水は無い
恨ん ....
僕らの手足は切り取られた
鋭い歯の電動鋸
体もやがてバッサリ切り落とされるだろう
人間達が遊ぶ為の大型の施設が作られるらしい
髪の毛を乱して抵抗するも虚しく
はらはらと散ってゆくだけ
....
あかい花々の色
あおい空の彩
あけて仰いで
自ら掴んで
らんらんらん、
だんだんだん 、
瞬きした瞬間の
貴女が観えた
世界に入った
来たる涼風 、
包まれ包み込み
内な ....
眠りはすべてを忘れてしまえるんだと
灰色の鈍感な心まで折れちまってるんだと
彼女はそう泣きそうに
照れながら幸せなふりで笑ったから
陽気になれる薬のおかげで
いろいろあって楽 ....
詩に神でしょうか
魂を奪われて
目を逸らせなくなった
その指がわたしの曲線に触れて
芯がじわりと赤くなる
押し寄せる昂り
少しく震え漏れる息
目を合わせた途端
はらり
と衣が落ちた
....
白銀の光滴、幾つも幾つも
黒い轍に導かれ生まれ
大きく膨らみ透過され
やがて鈴生り勇み立ち
己を誇示し生き始め
落ちていく、沈み込む
俗世という時流に
内なる死の流れに
犯され犯し捉え ....
ジェンガティンガ司令は悩んでいた
生きるべきか死ぬべきか
崩れていくいのちのかけらを拾い集めては
途方にくれる日々だった
終わりかけたある日 にゃーがあらわれた
にゃーに ....
春が来てもウツ
桜咲いてもウツ
空が晴れてもウツ
ウグイス鳴いてもウツ
菜の花揺れてもウツ
ちょうちょ飛んでもウツ
花粉症でウツ
ドーナ ....
白い柱の上で
しゃべる猫を待ってた
しゃべる猫はフード付きの
グリーンのコートを着てる
誰が見たって間違えようのない
ぎらぎらした勲章をつけて
投げつけて
振り払って
ここに来るま ....
琥珀の水を飲み
紫煙を漂いながら想いを馳せる
数十年の迷路を未だに彷徨いながら
素粒子が固まった肩を抱き締めた
言葉を失ってからどれくらい経つだろう
答えが見つからない迷路の壁は高く聳え
....