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風に流されて
落ちた日が
山の端に滲む
飛来した鳥の羽根に
しがみつき
僅かなぬくもりは
山へと堕ちる
眩しすぎる季節が
駆け足で追い立てるから
花たちは散り急ぎ
やがて
萌 ....
口に含んだあめ玉色の
建物や生き物が
こちらへおいでと
手招きをして誘うから
さぞ 甘い夢を
見られるのだろうと
振り返りもせず
あの子は
駆けていってしまった
あざやかに
裾 ....
届けられた手紙には
何と記されていたのだろう
やわらかく細い筆で
控えめに書かれた宛名が
真っ白い封筒に浮き立つ
切られた封の中から
かさかさと
枯れ葉を取り出すような
仕草で広げ ....
そこには廂のない
木々を見下ろすような
建物ばかりが並ぶから
欠けない月は
皮膚の下
脈打つ鼓動までも
見通す
懐で熱を吸い上げる
母から貰った
裁ち鋏は
銀色の筋をつけながら ....